内容説明
時間の不可逆性はなぜ生じるのか？ド・ブロイ、ハイゼンベルク、ボーアに、師事・親交した量子力学の輝ける巨星による「時間論」の金字塔。
目次
時間と生活
時間と自然観
時間の起原と機能
空間の左右と時間の前後
時間と現象
物理的時間についての対話
可逆、不可逆の問題
量子力学における可逆性
輪廻と微小輪廻
ベルクソンの創造的進化と時間
相対性理論とベルクソン
時間と信仰―進化する宗教
永遠について
著者等紹介
渡辺慧［ワタナベサトシ］
１９１０年、東京に生まれる。学習院中等科、東京高等学校を経て、東京帝国大学理学部物理学科を卒業する。１９３３年フランス政府留学生として渡仏。パリ大学では博士論文が高く評価される。ヨーロッパでは、ド・ブロイ、ハイゼンベルク、ニールス・ボーアに師事した。帰国後、理化学研究所を経て、東京帝国大学助教授、立教大学教授を歴任。第二次世界大戦後の１９５０年に渡米し、以降、ＩＢＭワトソン研究所員、イェール大学教授、ハワイ大学教授等を歴任（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
7
ビッグサイトのブックフェアで、河出書房ブースを彷徨ってる時に邂逅。情報科学のお勉強を始めた頃に「醜いアヒルの子定理」で出会った渡辺さん。まずは「思想の科学」の同人だったことに気付いて驚き、次いでこんなガチの物理屋さんだったことを知ってさらにブッとぶ。７０年前の本なんだけど、「双子のパラドックス」を特殊相対論ではなく一般相対論まで踏み込んで、ここまでわかりやすく解説してる本は、その後も出てきていない。しかも、それが同時にベルグソンの相対論解釈の解説でもあるところが恐ろしい。 2016/11/02
マギカ鍋
2
理論物理学者の立場から物理学の可逆性と熱力学のエントロピーの不可逆性の矛盾を探究し時間の一方通行性を主張。それを軸に哲学、宗教、進化論等、様々な観点から現実的な時間を考察。また量子力学における観測と対象の相互補完関係を示し、その主観と客体の関係に科学技術が自然に干渉し築いた関係性を重ね客観性の意味を観測瞬間に問う。一方で観測できないものに否定的な見識を見せ主張の根底と逆のものを感じるが、それが科学者の信念であり限界と業なのかもと。これが戦後間もなくというのも凄い。実生活の様々な面にも活用できる深淵なる書。2012/12/07
ゆうやけＰＣ
0
哲学についての章は何が何だか。電波系怪文書のようだった2017/03/23
