アナレクタ
砕かれた大地に、ひとつの場処を―アナレクタ〈3〉

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  • サイズ B6判/ページ数 245p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309245645
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0010

内容説明

テクストを繊細に紡ぎ出す手仕事から、震災を経て革命と民主制の根源的な問いへ。狂熱とユーモアを同時に携えた、統治の“藝術”をめぐる強靱かつ寛容なる思考の轍。

目次

明視が目癈いる
胸打たれて絶句する他ない抵抗と闘争の継続―中井久夫著『日本の医者』(日本評論社)を読む
文学と藝術(対談者:磯崎憲一郎×佐々木中)
政治とは「論証」 雄弁の技藝が必要
紀伊國屋じんぶん大賞2010受賞の辞
私の本は安易な希望の書ではない
これは“文学”ではない―Absolute/Self Reference twin‐engine(対談者:円城塔×佐々木中)
「夜の底で耳を澄ます」(二〇一一年二月六日、京都Mediashopにおける講演)を要約する十二の基本的な註記
書きながら考える
反時代的であることを恐れるな(対談者:安藤礼二×佐々木中)〔ほか〕

著者等紹介

佐々木中[ササキアタル]
1973年青森生。作家、哲学者。東京大学文学部思想文化学科卒業、東京大学大学院人文社会研究系基礎文化研究専攻宗教学宗教史学専門分野博士課程修了。博士(文学)。現在、法政大学非常勤講師。専攻は現代思想、理論宗教学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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harass

26
一つ異様なものがある。「書きながら考える」 朝日カルチャーセンターでの朝吹真理子との対談だったものだが、佐々木の発言だけが掲載されている。次の雑文集4で経緯が述べられているが。対談冒頭の佐々木による、丸谷才一批判が問題だったそうだ。丸谷が新聞に載せた、朝吹の小説への書評に佐々木が激怒して、いかに丸谷のいうことが頓珍漢かを語っているのだが、そのことに朝吹の編集者などが当時健在だった丸谷への配慮で掲載に難色を示していたが、佐々木は妥協点として、自分の発言だけを掲載することにしたのだという。2015/06/01

Bartleby

16
対談、講演録集。冒頭の、視力が3.5以上あった著者がその目に見えていた世界を描写したエッセイ「明視が目廢(めし)いる」がすごかった。著者は見えすぎてしまう苦しさも強調していて、そこを読んでいると、橋本治さんが、美しいと感じてしまうことはこの社会ではある意味負けなのかもしれない、と書いていたことを思い出しもした。たしかに感じすぎないこと、見すぎないことは生きる上で必要なことなのかもしれない。それでも、子供のころから視力の低い自分には、著者の目から見える鮮烈な世界は羨ましいと感じずにはいられないかった。2013/11/24

冬佳彰

10
佐々木中さんの対談や公演での発言をまとめた本。東日本大震災をまたいだ時期であり、ある理由により、それに対しての直接的な発言は拒否されている。が、事象の影響下にある言葉が発せられていることも間違いではないだろう。表題作の中で考察される坂口安吾の「堕落論」は、俺はかなり若い頃に読み、さくっと分かった気でいたが、そうか、そこまで複雑な論だったんだな。再読しなくてはならないだろう。そして「屈辱ではなく恥辱を」はズシン、と来る。それ以上に言葉がないほどに。2023/08/21

白義

8
3つのアナレクタの中では1番面白かった。書くことという端的な事実性、文学の方から現実を考える姿勢が相変わらず徹底しているし、円城塔や安藤礼二との対談も面白い。へー、サトエリってマルケスとか好きな読書家なのか、というミーハー的な興味にもたえうる。特に一番いいのは表題作で、震災の当たり前性の強調や、地震による根拠律や同一性の崩壊、恍惚を描いたクライスト論から主題の安吾論に直結する語りの手腕が見事。いかにして震災の年から新しく踏み出すか、という切実さが魅力的な本だ2011/12/24

多聞

7
震災後の発言が収録されたアナレクタ第三弾。円城塔、安藤礼二との対談、「砕かれた大地に、ひとつの場処を」「屈辱ではなく恥辱を」など知的好奇心を刺激する内容の数々はアナレクタ1、2以上に読み応えがあった。今年も佐々木中の動向に注目していきたい。2012/02/25

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