出版社内容情報
1986年チェルノブイリ原発の大事故後、旧ソ、ヨーロッパだけでなく日本でも汚染は拡がっていた。原発の現場から食品など具体的な放射能汚染の実態を綴り、原発への警告を鳴らす。
【目次】
まえがき――『放射能汚染の現実を超えて』復刊にあたって
序 人命の尊厳と反原発運動
人類は自ら蒔いた種で、遠からず絶滅する/人類が滅亡しても、地球は新たな生命を育む/反原発の根拠/生き方の中にこそ生命の尊厳はある
Ⅰ チェルノブイリの死の灰はどこに行ったのか
チェルノブイリ原発の大事故/野菜が汚染された/母乳にまで放射能が/今も続く食品汚染/放出された死の灰/ヨーロッパ・ソ連の汚染の深刻さ/チェルノブイリ周辺の汚染の恐怖/もし九州で事故が起こったら/100万~200万の人がガンに/子供たちに集中する犠牲/有機農業に集中する汚染/工業化で潰されてきた農業/エネルギー浪費社会の末路/人間差別の上にしか成り立たない原発/汚染食品とどう向き合うのか/第三世界の現実/私たち自身が加害者に
Ⅱ 弱い人たちを踏台にした「幸せ」
放射能で汚れた食べ物/日本が拒否しても汚染は消えない/過酷な現実といわれなき差別/私たち自身が加害者になっている/子供たちの澄んだ瞳
Ⅲ 放射能汚染の現実を超えて
チェルノブイリ原発事故/ソ連、ヨーロッパの汚染の深刻さ/日本の状況/本当に必要なこと
Ⅳ 放射能汚染の中での反原発
はじめに/国の規制値にはまったく根拠がない/安全な被曝量など存在しない/原発の恩恵を受けている国は汚染も受け入れよ/弱者にしわ寄せされる放射能汚染食糧/誰が立証すべきなのか/運動はどういう波及効果を持つか/国が恐れていることと、運動に必要なこと/多元的な運動と根源的な運動/運動の形成と目標/根源的な運動の具体像/この現実を差別と呼ばずに何と呼ぶのか/「唯一の被爆国」と呼ぶ誤り/朝鮮人被爆者をいまだに差別し続けている私たち/排外主義から国際連帯へ/国際連帯に至る日本人としての条件/反原発運動の飛躍のために/どういう人たちの立場に立つのか
Ⅴ 多様な運動の根源における連帯
存在する無数の課題と連帯の地平/汚染測定の醜さと活路
Ⅵ 有機農法玄米のセシウム汚染が教えるもの
はじめに/汚染の強さを決める要因/チェルノブイリ原発事故による日本国内の汚染/玄米のセシウム汚染の主犯は過去の核実験にある/それぞれの玄米からの被曝量/汚染への向き合い方
Ⅶ 原子力開発と地球環境問題
原子力開発の看板の変遷/温暖化問題と化石燃料の浪費/日本による略奪的な森林伐採/温暖化問題の本質はエネルギー浪費/エネルギーを浪費しない社会への道/原子力はクリーンでも安全でもない/原発は石油がなければ動かない/おわりに――いわれなき犠牲をさけること
内容説明
原子炉の心臓部である炉心が大規模に溶け落ちる「メルトダウン」を防いでいるのは、生身の人間たちの苦闘である。そして、この苦闘は今からまだ何カ月も続かざるをえない。運良く、その苦闘が実を結んで破局的な事故を防いだとしても、破壊された原子炉を始末するには、何十年もの苦闘が待っている(まえがき『放射能汚染の現実を超えて』復刊にあたって)。今こそ読まれるべき原発への警告の書。
目次
序 生命の尊厳と反原発運動
1 チェルノブイリの死の灰はどこに行ったのか
2 弱い人たちを踏台にした「幸せ」
3 放射能汚染の現実を超えて
4 放射能汚染の中での反原発
5 多様な運動の根源における連帯
6 有機農法玄米のセシウム汚染が教えるもの
7 原子力開発と地球環境問題
著者等紹介
小出裕章[コイデヒロアキ]
1949年東京生まれ、東京育ち。1968年東北大学工学部原子核工学科に入学する。1970年女川で闘われていた原発反対運動に参加する。1974年に京都大学原子炉実験所助手になる。現在、同助教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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