内容説明
2000年に起こった原子力潜水艦クルスクの事故の乗組員118名は、なぜ見殺しにされたのか?スターリン時代からプーチンの治世へと綿々と続くロシアという暗い闇に翻弄される人々のドラマを描き、不可解な事故の謎をえぐる衝撃のノンフィクション・ノヴェル。
目次
第1章 私はスターリンにすぎん
第2章 青の時代
第3章 先行性健忘症
第4章 二人の友
第5章 焼死体
第6章 いたち
第7章 言葉の沈黙
著者等紹介
デュガン,マルク[デュガン,マルク][Dugain,Marc]
1957年、アフリカ・セネガル生まれのフランス人。ビジネス界から転身し、98年に『士官の部屋』でドゥマゴ賞を含む18の文学賞を受賞。ベストセラーとなり12カ国で翻訳され、映画化される
中平信也[ナカダイラシンヤ]
1953年、東京都生まれ。慶應義塾大学法学部中退。仏語・英語翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネコ虎
8
副題に「原子力潜水艦沈没事故の真相」とあるがミスリード。潜水艦沈没事故はロシアの非情さを描くための材料だ。スターリン時代の粛清やその息の詰まる社会はロシアという国特有のものなのか。その流れを継ぐプーチンもそういうロシアを引きずっていると著者は糾弾しているようだが、ロシアというより共産主義のもたらした悲劇ではないのか。帝政ロシアが続いた方がまだロシア人にとって幸せだったかもしれない。プーチンの描き方は弱い。スパイ出身とはいえ独裁者としてはスターリン、ヒトラー、毛沢東らとは全く異なるのに描かれていない。2017/06/21
がんもどき
3
冒頭いきなりスターリンが出てきてビビる。ソビエト以来のロシアの重苦しい生活を描くのに潜水艦事故を例として挙げられているが、主題は強権的な政治とそれに翻弄される市民生活であると感じた。あちらの生活は日々大変なんだと随所で感じさせる本だった。読むだけでしんどい、ロシアに生まれなくてよかったと感謝したい気持ちになる本だった。2022/04/04
こひた
0
コック最強なシリーズではないです。コックの息子は大統領で最凶だけど。個人を切り捨てる国家の矛盾と狂気がよく描かれている。2010/08/16