内容説明
“女”なんていない?世界なんて存在しない?目の前の欲動に身を投げよ!ジジェクとともにラカン派をリードするコプチェクが、フーコー、バディウ、アガンベンらを横断しながら、ポストモダン的多元論と普遍的道徳法則を共に退けつつ、「剥き出しの生」を超えた“倫理”をさぐる力篇。
目次
“女”なんていないと想像してごらん 1 昇華という女性的行為(不撓不屈の墓―『アンティゴネー』論;ナルシシズム、斜めから見て;エジプト人モーセと、南北戦争以前の南部における黒人の大乳母―フロイト(とカラ・ウォーカー)による人種・歴史論
泣くという行為、その発明と反演劇性)
2 悪と観者の目((無)限定的世界の時代における悪
酸っぱい正義、あるいはリベラリズムにおける嫉妬
視覚の筋かい―見ることの支えとしての身体
ザプルーダーの見たもの)
著者等紹介
鈴木英明[スズキヒデアキ]
1962年生まれ
中山徹[ナカヤマトオル]
1968年生まれ
村山敏勝[ムラヤマトシカツ]
1967年生まれ
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感想・レビュー
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34
5
女なんていないと想像してごらんと歌うジョン・レノンを想像してごらん。2020/09/25
ヒナコ
3
映像論と精神分析と現代美術があまりにも圧縮された形で詰め込まれており過剰な一冊。 ラカン派でありがちなリアルなモノへの享楽に両手を挙げて賞賛する態度から、著者は禁欲的に距離をとっているようだ。 著者にとっての享楽とは、小文字のありふれた対象に欲動を昇華することのようで、決して死への欲動に身を任せることではないようだ。アンティゴネーの死が煌びやかにうつる理由を、死そのものからではなく兄へのありふれた愛着から説明し、その愛着の実現が法の中に内在化している狂気を行為遂行的に暴き出すという批評に目眩すら憶えた。2017/11/02