出版社内容情報
2021年8月、タリバン政権が樹立したアフガニスタン。古代から現代まで文化・民族・政治史を詳しくまとめた名著を新装版で復刊。
内容説明
タリバン新政権樹立!この国はどこへ行くのか?アフガニスタンの地理的要因と複雑な歴史、そして豊かな文化を、古代から多角的にまとめた名著。現情勢の視点をあとがきに追補。
目次
プロローグ アフガニスタンとはどんな国か
第1部 古代~近代(アフガニスタン前史;アフガニスタンのはじまり;アフガニスタン統一国家への道;近代化への歩み;模索の時代)
第2部 現代(冷戦下の親ソ連政権(一九七九‐九一)
タリバンの誕生(一九九四‐九五)
反タリバンの動き(一九九六‐九七)
タリバンの孤立化(一九九七‐二〇〇〇)
同時多発テロとアメリカの空爆(二〇〇一))
著者等紹介
前田耕作[マエダコウサク]
1933年生まれ。名古屋大学文学部卒業。和光大学名誉教授、東京藝術大学客員教授。アジア文化史を専攻。著書多数
山根聡[ヤマネソウ]
1964年生まれ。大阪大学大学院言語文化研究科教授。パキスタン・パンジャーブ大学大学院ウルドゥー文学研究科修了。博士(京都大学・地域研究)。ウルドゥー文学、南アジア・イスラーム論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サアベドラ
36
先史から2002年のカルザイ政権登場までのアフガニスタン通史。2002年刊(新装版は2021年刊)。通史といっても1970年代から00年代までの現代史が全体の半分を占めており、18世紀のアフガニスタン王国の建国以前の記述に至っては最初の1章分しか割り当てられていない。加えて2002年以降の動向も書かれていないので、通史としては不十分な内容だが、日本語で書かれたアフガニスタン史の本は現在でも本書以外にほとんど存在しないので貴重ではある。感想としては、外国の干渉以前に部族間・民族間の内戦が多すぎる。2021/12/12
鯖
21
書き出しがチンギスハンによる略奪強姦の嵐だったので、なんでそのまんま20世紀まで変わんないの…としょんもりする。内戦や治安悪化への憂慮からタリバンが生まれ、20人ほどの学生たちによる山賊退治から始まって場当たり的に勢力を拡大していった。筆者のいう「無欲な純粋さ」や911当時には穏健派と過激派が対立していたとのことで、この辺りも総括だの赤軍だのを思い出したり。併せてソマリランドの本を読んでたもので、どうにかあのしたたかさというか、ゆるさを…なんとか…なんとかならんか…という暗澹とした気持ちのまま読了。2022/01/02
にゅ
5
先史から2001年末のカルザイ暫定政権樹立までのアフガニスタンの歴史を解説した本。2021年10月に発刊した新装版で、帯には「タリバン新政権樹立!」と大々的に記載されているが、2002年以降の歴史に関する追記があるわけではない。著者が日本人のため、日本によるアフガニスタンへの関与・支援についてしっかり盛り込んであるところが有り難かった。2024/01/02
トト
3
2002年初版の、アフガニスタン史を駆け足でまとめた書物。アフガニスタンの歴史は想像以上に戦いと血にまみれていました。下克上が数百年続いている状態。そこに宗教、外国勢が入り交じり混沌。2002年、アメリカ空爆後の暫定政権成立で終わりになるのだが、その後20年間の歩みも到底順調とはいえず、結局タリバンに奪回された事実に、何が正解なのかまだまだ時間がかかりそうな気がしました。人が簡単に殺されない時代が早く来ますように。2021/12/26
たいたいぶん
1
著者が私が今いる大学の教授だったことからこの本を知ったが、しっかりまとめられててすごいなぁという感想。よくこんな混乱が続いてる時期にまとめられたなと尊敬を感じる。タリバン奪還に関する記述は少なかったけど仕方ない。2023/09/28