出版社内容情報
古来描かれてきた妖怪画の数々とともに伝承や古典文学に現れたもののけの世界を探る。2015年刊をソフトカバーにした新装・普及版
内容説明
山から、水から、里から、屋敷から―もののけ大集合。鬼、天狗、一つ目小僧、コナキ爺、河童、小豆洗い、海坊主、雪女、塗り壁、化け猫、ザシキワラシ…日本人はどのように妖怪を思い描いてきたか―たくさんの妖怪画と全国各地の言いつたえから、そのふしぎな世界がわかる。
目次
1 山の妖怪(鬼―人を恐れさせる鬼と人に恵みをもたらす鬼;天狗―鼻の高い赤ら顔、山奥にすみ空を飛びまわる ほか)
2 水の妖怪(河童―川や沼にあらわれるなじみの深い妖怪;蟇―岩かと間違えるほどの大きなヒキガエルの妖怪 ほか)
3 里の妖怪(狐―稲荷神の使いも、いっぽうでは人を化かす;狸―八化けといわれるほどの化けの名人 ほか)
4 屋敷の妖怪(化け猫―尻尾の先が二つに分かれて魔力をもつ古猫;鼠―猫さえ食い殺すほどの力をもつ古鼠 ほか)
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著者等紹介
岩井宏實[イワイヒロミ]
国立歴史民俗博物館名誉教授・帝塚山大学名誉教授。文学博士。1932年、奈良市生まれ。2016年逝去。立命館大学文学部卒業。大阪市立博物館主任学芸員、国立歴史民俗博物館教授、同民俗研究部長、大分県立歴史博物館館長、帝塚山大学教授、同学長などを歴任。専門は民俗学、民具研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ポチ
50
《気分転換に》日本に古くから伝わる妖怪達。イラストに沿った説明文にはルビも振ってあるので児童でも楽しめそう。2020/04/07
よこたん
46
“幽霊が死霊であったのに対して、妖怪は本来神だったのです。それも、多くは人間に祭られなくなった落ちぶれた神です。” ほうほう、そういう解釈もあるのね。先日読んだ本で出てきた「犬神」が気になって手に取った。錦絵、図鑑、図画、絵巻中で描かれた妖怪が満載。山水画?と思って、よく見たらへんなのが写り込んでいたり。不気味ななかにどこかユーモラスさも漂っていて、当時の人々のお楽しみ的なものだったのかなと感じた。「轆轤首」の首の飛びすぎ具合と、襖いっぱいサイズで顔を出す「大首」に笑う。遭遇した時の対処法付きで安心!2020/09/27
えふのらん
1
昔話百科の姉妹本、なので内容は当然民俗学寄り。妖怪を山(鬼天狗等)、水(河童等)、里(狐狸等)、屋敷(化け猫等)と四つの属性に分類し、それに基づいて習性や人間との関わりを解説。一つの妖怪につき伝承を三つか四つを並べて、地域による解釈の違いや多様な性格も示されている。一般的なキャラクター百科とは真逆をいく内容だが十分に面白かった。辞典としてではなく、単に伝承をつらつら読むにも向いている。2024/03/30