出版社内容情報
日本人の精神史の中で気にされてきた鬼を、神との対、怨霊との関連、山谷に駆逐された人びと、鬼門という角度などから本質的に考察。
目次
第1章 鬼のクーデター―あずまえびす、ヤマトに叛逆す
第2章 怨霊は鬼か―鬼となる怨霊、ならぬ怨霊
第3章 鬼を祀る神社―温羅伝説と国家統一
第4章 女が鬼になる時―舞い踊る夜叉
第5章 ヒミコの鬼道―神の道と鬼の道
第6章 鬼門という信仰―都人の祟り好き
第7章 異世界のまつろわぬ民―山人・海人・平地人
第8章 鬼の栖―縄文神への追憶
著者等紹介
戸矢学[トヤマナブ]
1953年、埼玉県生まれ。國學院大学文学部神道学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ポチ
56
本来の鬼は大和朝廷に逆らい征服された民の事を蔑んで言ったことなんだろうな。私達が思い浮かべる、角のある鬼は能楽から生まれたとは知らなかった。もう少し関連書籍を読みたい。2021/03/01
レアル
44
「祟り」とは祟られる者から発信される思いであり、決して祟る側からの思いではない。それを裏付ける著者の見解がここに書かれている。また鬼とは、ヤマト朝廷に従わない者か、また一方では縄文時代では庇護者で味方でもあった神なのかというまさに表紙の「副題」にあるテーマについて書かれた本。興味深い。2021/06/17
イトノコ
34
図書館本。鬼の出自とはなんなのか、あのビジュアルはどこから来たのかを解説。/以下、自分なりの解釈。日本古来の言葉である「おに」は「かみ」と同義であり、縄文人にとって霊峰などの信仰の対象。転じて、それを信仰する縄文人も指すようになった。彼らは大和政権=弥生人から征討される対象であった。一方、「鬼(き)」は大陸伝来の概念で死者を指す。それが大和政権における権力闘争の犠牲者の怨霊と結びつき、ネガティブなイメージとなった。鬼門信仰もここに由来する。続く2021/01/26
はるわか
16
日本三大祭りは祇園祭(京都)、天神祭(大阪)、神田祭(東京)で、スサノオ、菅原道真、平将門と怨霊神を祀る。ヤマトにとって鬼はまつろわぬ者の代名詞。無念の死をとげた者は怨霊に。「鬼」は東北に現れる。四天王寺は物部守屋の、法隆寺は蘇我入鹿の怨霊を鎮魂。日本三大怨霊は菅原道真、平将門、崇徳院。温羅伝説と国家統一。恨みの人世阿弥、能楽で女性の恨みを鬼に化身。神泉苑(京都)の御霊会は6人の怨霊を鎮める[早良親王(崇道天皇)、伊予親王、藤原夫人(吉子)、橘逸勢、文屋宮田村麻呂、藤原広嗣]。ヒミコの死は284年。2019/12/18
naolog
11
図書館にて。ふと高田崇史の本で読んだ内容だなーなんて思いながら。縄文の民は、農耕の発展とともに追いやられてしまい、その構造はまつろわぬ神となっていくのでしょうね。しかし、現代の鬼の姿(牛の角に虎の服)は鬼門=丑寅からの連想にすぎないとはうっかりしていましたなぁ。そしてその正反対の南西=坤(ひつじさる)から正の方向に申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)になるとは…桃太郎のような御伽噺でも鬼封じしているとは気付けなかった。2021/11/27