黒の服飾史

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  • サイズ 46判/ページ数 264p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309227689
  • NDC分類 383.1
  • Cコード C0070

出版社内容情報

最もお洒落で、最も無難かつ万能。「黒い色の服」が秘めた長い歴史と豊潤なイメージを、ヨーロッパ精神史の変容とともに描き出す。

内容説明

もっともお洒落、そしてもっとも謎多き色。ひとはなぜ黒を着るのか。禁欲、プロテスタンティズム、喪服、メランコリー、燕尾服、ダンディスム、シャネル―黒い色に秘められた豊潤なイメージとその長い歴史を、ヨーロッパ精神の変容とともに描き出す。

目次

第1章 多色使いの忌避
第2章 モノクロームの道徳性
第3章 黒いモードの誕生
第4章 メランコリーの系譜
第5章 プロテスタントの倫理とモノクローム志向
第6章 白いモードと白の表象
第7章 近代社会のブルジョアの色
第8章 産業社会の労働の色
第9章 近代都市とジェンダー
第10章 現代のモノクロームと黒の表象

著者等紹介

徳井淑子[トクイヨシコ]
お茶の水女子大学名誉教授。専攻はフランス服飾・文化史。1984年、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程単位取得満期退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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tom

17
最初のページに書いてある表題は「色にストイックなヨーロッパ人」。ヨーロッパの色は、黄色やピンク、鮮やかな暖色と勝手に思い込んでいたのだけど、どうも違うらしい。次に驚いたのが黒色の意味付け。もともとは下品な色だったものが、次第に変化する。中世の時代には、黒はメランコリーの色、道徳的な色。対する赤や青、カラフルな色はさげすまされた人の堕落の色。スペインの時代になると、黒は高貴な色になる(美しい黒の製造技術が生まれる)。そうすると、男は黒を着て、女は男の資力に見合った色を着る・・・。2021/06/19

びっぐすとん

14
図書館本。中世ヨーロッパではカラフルな服は被差別民の印であり、色が変わるというのはキリスト教では忌むべきものであり、襲色目のように自然の色を取り入れ楽しむ日本人とは色に対する感覚が違うらしい。黒がプロテスタント倫理即ちブルジョワ倫理にかない、当初、工場製品が無彩色になったとのこと。今でも車も家電も黒と白は大抵ある。黒に染めるのも白に漂白するのも大変なことから高貴な色だったものが、時代が下がると下僕の色になったり、目まぐるしい。黒と白の服しかなかったら、世の中味気ないな。そういう意味でも中世は暗黒時代だな。2019/10/04

rinakko

12
“なぜ黒が男の服にふさわしかったのか、それは近代産業社会が、黒を好もしいとするプロテスタントの色彩倫理を引き継いだからである。” “また、自ら示すことのできない財力は、妻が夫に代わり華麗なドレスによって示すというのが、十九世紀のジェンダー規範であった。” “「ゆえに男性の黒に対し、色彩をまとった女性という対立の図式が成り立ち、そこにヨーロッパに特有の女性蔑視(ミソジニー)の観念が重ねられたとき、色彩は女性的なものとして嫌悪されることになる。” “シャネルの黒いモードが革新的であったと思うのは、2021/06/23

Yoko Kakutani 角谷洋子/K

7
クロモフォビア(色嫌い)が脈々と受け継がれた西洋の服飾史を「黒の視点」で批評する新しい試み。 服飾史家には博覧強記の人が多いなあ、ということを実感させられた1冊でもあります。 シャネルの革新性が今ひとつ気に入らない私には、シャネルの黒好みが、伝統的な西洋のクロモフォビアに回帰したものであり、男性的な機能性を取り入れた服作りが、マッチョイズムへの帰依と紙一重の所にある、と感じられるのでした。 まさに読後に蒙を啓かれた印象です。2020/01/18

ganesha

5
ヨーロッパにおける中世から現代までの黒と他の色の意味合いについて、時代ごとにまとめられている。緑と黒の布が高価だった理由、近代男性のコルセットの意味など興味深く読了。2020/11/21

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