大英帝国は大食らい―イギリスとその帝国による植民地経営は、いかにして世界各地の食事をつくりあげたか

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  • サイズ B6判/ページ数 448p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309227597
  • NDC分類 233.05
  • Cコード C0022

出版社内容情報

16世紀から現代にいたる英国の帝国主義ネットワークが、英国本国と植民地の食習慣をいかに変え、近代化が果たされたかを描き出す。

内容説明

地形を変え、農業システムを変え、旧世界と新世界との間で穀物の交換ができるようにし、その過程で自分たちだけでなく他の人々の嗜好をも変えてしまう。こうした発展によって編まれた食料の網は人間が住む五大陸すべてをつなぐ真にグローバルなシステムをつくりあげ、地球上の孤立した最果ての地さえも引き入れていく―。本書では、帝国の複雑に入り組んだ相互依存の仕組みと、近代世界の食習慣をかたちづくるうえで帝国が果たした役割を明らかにしていく。

目次

第1部(ポーツマスの港に停泊したメアリー・ローズ号では魚の日だった話―1545年7月18日土曜日/ニューファンドランドの塩ダラはいかにして帝国の基礎を築いたか;ジョン・ダントンがオートケーキとバターで煮たノウサギをコンノートの山小屋で食べた話―1698年/アイルランドはいかにしてイングランド人に入植され、食料供給基地となって擡頭する帝国の台所となったか ほか)
第2部(レイサム一家がランカシャー州スキャリスブリックで牛肉とジャガイモのシチュー、糖蜜がけプディングを食べた話―1748年1月22日/イングランドの地方労働者の貧しさはいかにして大規模生産食料につながったか;奴隷の一家がサウスカロライナのミドルバーグ農園でトウモロコシ粥とフクロネズミを食べた話―1730年代/サウスカロライナのアメリカ人入植地はいかにしてアフリカの米によって築かれたか ほか)
第3部(カマラがビハール州パトナ近郊で家族のために料理をした話―1811年2月/東インド会社はいかにしてアヘンを茶に変えたか;サラ・ハーディングと家族がニュージーランドのホークス・ベイ、ワイパワでおいしい食事をたらふく食べて太った話―1874年7月29日/飢えはいかにして一九世紀のヨーロッパ人大移住を加速させたか ほか)
第4部(ダイアモンド鉱山労働者たちが雨季にガイアナの酒場でイグアナカレーをこしらえた話―1993年/非ヨーロッパ人たちはいかにしてイギリス人のために南国食材を生産する大規模農園で働くべく移住してきたか;バートン家がマンチェスターのロンドン・ロードにあるスラム地区でウィルソン家をお茶でもてなした話―1839年5月/労働者階級のパンを焼くための小麦はいかにしてアメリカと入植地で作られるようになったか ほか)

著者等紹介

コリンガム,リジー[コリンガム,リジー] [Collingham,Lizzie]
イングランドのウォリック大学で教壇に立ち、ケンブリッジ大学ジーザス・カレッジで主任研究員を務めたのち、独立して歴史家となった。現在、ウォリック大学のアソシエイト・フェロー、ケンブリッジ大学ロイヤル・リテラシー・ファンド(王立文学財団)フェローを務め、イギリスのケンブリッジ近郊で庭に建てた小屋の中で執筆している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

宇宙猫

26
★★★ 英国が新世界で見つけた美味しいものは金持ちの嗜好品に、大量生産できるものは兵士や奴隷の食料として世界中に広めたことが良くわかる。その英国も今ではハンバーガー、ピザ、コーヒーなどで すっかりアメリカナイズドされていることは皮肉。現在は韓国に流出したため世界で人気の日本の苺や、日本食の人気により日本で高値の花になった魚など世界の食を変えるのに貢献してしな。いつの時代も世界は食に貪欲ってことか。D2021/01/30

Miyoshi Hirotaka

23
英国由来のアフターヌーン・ティーは上品な趣味としてブランド化されているが、元は英国の労働者階級の習慣で、しかも、全て海路での輸入品。遠方から英国に食料を供給するシステムは複雑な相互依存の仕組みを作りながら発展してきた。わが国にカレーがもたらされたのも大西洋のマグロが食卓に乗るのもこの供給網のおかげ。約120年前までは英国の海軍力で維持されてきた。海路や鉄路を巡る権益争奪や権謀術数は今も続いている。温暖化による北極航路の開拓は新たな火種。一方、過去にそうであったように新たな構造改革と経済発展の下支えとなる。2023/06/26

くさてる

20
読み終わったあとで、ホンマにな!といいたくなる題名です。副題が内容のすべてを示しているのですが、植民地政策の非人間性にげんなりすることは請け合い。けれど、その中で人々がなにを口にしてきたのか、どのように食文化が発展していったのかということを分かりやすく知ることができます。これまでになんとなく知っているつもりだった歴史上のさまざまなことに違った視点でスポットライトを当てられたような気になりました。面白かったです。2019/07/27

marumo

20
すごく面白いんだけど、とにかく厚い!! 期間内に読了できず泣く泣く返却。細かい章立ては「小咄たくさん」な感じで、時代とか気にせず好きなとこからパラパラ読めます。大英帝国のエゴむきだし過ぎて笑ってしまう。2019/07/03

MUNEKAZ

18
「食」を通して、大英帝国のキモが土地ではなく交易のネットワークにあるということを示す一冊。ヒト・モノそして食物が行き交い、各地の食文化を破壊し、混交し、創造する様は興味深い。南米原産のとうもろこしが、アフリカやインドの伝統食に使われ、西アフリカ発の米作りが、北米植民地の胃袋を支える。ただそのネットワークは本国イギリスの食生活を支えるのが第一義であって、戦時には本国のために植民地は切り捨てられる。WWⅡ中、配給が全国民に行き渡ったブリテン島と、何百万人という餓死者を出した英領インドの差は鮮烈である。2024/02/01

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