内容説明
昭和11年2月26日、雪の朝、宮城を舞台に何が企てられたのか。物語はふたりの人物に行き着く。当時34歳の大元帥陛下。そして28歳の近衛師団陸軍中尉。両者には雪の早暁に企てられた宮城作戦のトゲが突き刺さっている。このトゲを抜けば二・二六事件が内包する膨大な膿が流れ出て来るに違いない。語られることがない禁断の領域がそこに露呈するのだ。―松本清張『昭和史発掘』でスクープされてから40年、膨大な史料の森に分け入り、時刻を克明に辿り、隠蔽封印された宮城での作戦の全貌を抉り出す。
目次
第1章 蹶起目的
第2章 偽装赴援
第3章 鎮圧秘匿
著者等紹介
鬼頭春樹[キトウハルキ]
昭和23年金沢市生まれ。昭和46年東京外国語大学フランス語学科卒。NHKにディレクターとして入局、平成19年定年退職。NHK特集「調査報告チェルノブイリ原発事故」(昭和61)でモンテカルロTV祭ゴールデンニンフ賞・レーニエ三世賞・国際批評家賞、ほか五つの国際コンクールで受賞。「NHKスペシャル・新シルクロード 天山南路 ラピスラズリの輝き」(平成17)でニューヨークフェスティバル宗教番組部門最優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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セルジオ肥前
3
史実を基にしたフィクション的なものかと思っていましたが違いました。事実の記載、文献からの引用、推測からなる会話文などが混ざり合っていて読みにくかった。2.26事件についての基礎知識がかなり無いと読み進めるのがつらいと思われます。映画「226」を先に見ていて人物のイメージが少しあったので助けになりました。2016/03/12
フンフン
2
宮城占拠計画はすでに松本清張がつきとめている。これに真崎甚三郎が加藤寛治と組んで、伏見宮を内大臣として宮中に送り込んで天皇を操ろうという計画が絡んでいたというのが、本書の第一の眼目である。これはかなり首肯できるところだが、秩父宮や昭和天皇の内心の動きについての推測は憶測としか言えない。2018/03/01
めめめ
2
事件について多少の知識がないと読みづらいけれど、ものすごく面白かった。歴史ミステリーの趣がある。山口一太郎が禁固で済んだのはなぜか、中橋基明だけ三発もの銃弾で処刑されたのはなぜなのか…中橋の最期のシーンは寒気がした。真相は永久に菊のカーテンの向こう、だろうか…。2018/02/06
artillery203
2
非常に読み応えのある本だった。著者がいうように、一部くうそうをたくましくしている部分はあるものの、読み物としてとても面白かった。決起将校の純粋さが、結果として天皇陛下をはじめとした「心の支え」が自分たちの思った通りに動くと思わしたのか。2014/10/06
ken
2
面白い本です。226事件の首謀者が狙ったこと。実現できなかったこと。その後隠蔽されたこと。かなり核心を突いてると思います。2012/07/23