最後の兄弟

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  • サイズ 46判/ページ数 180p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309207759
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

出版社内容情報

アフリカ東方モーリシャス出身の女性作家による10歳の少年を主人公にした美しく哀しい小説。数々の賞に輝き、16カ国で翻訳。

内容説明

金髪のその外国人少年は私の心の支えだった。彼は私の背中で疲れ切って死んだ…。南国の荒々しい自然の中で繰り広げられる地元の少年と収容所暮らしの謎の少年とのみずみずしい心の交流と、あまりに無残な最後を、強烈な筆致で描く永遠の青春小説!

著者等紹介

アパナー,ナタシャ[アパナー,ナタシャ] [Appanah,Nathacha]
1973年、アフリカ東部沖にあるモーリシャス共和国モーリス島のマエブールで生まれた。ジャーナリストとして当地で仕事を始め、1998年にフランスのグルノーブルとリヨンでジャーナリズムと出版の勉学を継続する。『最後の兄弟』でフナック小説賞、エクスプレス誌読者賞、文化図書館賞など各賞受賞。それ以外の小説に“プードル・ドールの岩山”(RFO(フランス海外報道)文学賞受賞)、“ブルー・ベイ・パラス”(インド洋・太平洋文学大賞受賞)、“暴力の南回帰線”(フェミナ・デ・リセアン賞、アカデミー・フランセーズ・アンナ・ド・ノエル賞受賞)、短編集もある

藤沢満子[フジサワミチコ]
1972年、獨協大学フランス語学科卒業。フランスの文化、伝統を学び、とくにフランス女性の自己を主張する生き方が日本女性と異なることに新鮮な驚きを感じ、シドニー=ガブリエル・コレット(1873‐1954)を卒論のテーマとする。2008年以降、経済産業省およびUNIDO(国際連合工業開発機構)のアジア支援事業の一環で、繊維製品の商品開発の専門家としてラオスに長期滞在をする

石上健二[イシガミケンジ]
1949年、東京生まれ。1969年よりパリ大学のフランス言語文明講座受講後、パリ美術大学、同中退。絵描きとして1978年までパリに住む。その後30余年、コートジボワール共和国、セネガルなど、フランス語圏に滞在。訳書に、チエルノ・モネネムボの2作品、『カヘルの王』(2008年ルノドー賞受賞、現代企画室2013年)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

45
痛烈な悲劇を核としたあまりにも無垢な青春物語。あらかじめどうなるかを明かしているだけに、語りに懺悔と後悔が滲むのが分かって痛々しい。読んでいてどうしようもないやるせなさを感じた。"兄弟"と共に得た経験が如何に語り手の人生にとって救済であり、美しいものであったかも分かる分、尚更に切ない。物語的な過剰さがあまり見られないのもあってストレートに響いた。古典的に感じるくらいに地味な作品だが、アフリカを舞台にして第二次大戦下のユダヤ人との交流を描くのは意欲的と言えるのではないか。2019/08/09

けろりん

42
紺碧の海に臨み、整然と並ぶ六汒星を刻んだ数多の墓標。形は皆同じでも、一つ一つに特別な墓碑銘がある。1935-1945。永遠に10歳、彼らの民族の王、星と同じ名を持つ少年の墓にも。南洋に浮かぶ島国、サトウキビと、赤い土埃と、恵みを齎す筈の雨は、災いの前哨となる過酷な地に生を受けた、彼らの言葉で王様を想起させる名の少年。牢獄のような島の中の刑務所、そのフェンス越しに出会った二人の少年が共に過ごした数日。孤独で、病身で、その幼年時代に数えきれない哀しみを負って、王国を求め彷徨う、分ち難く結ばれた美しい魂の記憶。2020/08/03

mick

6
モーリス島と聞くとリゾートと思ってしまう状況から、父からの度重なる暴力、過酷な自然と生活、ヨーロッパから遠く離れた地でのユダヤ人収容の歴史へと思わぬ内容に驚いた。これまで読んできたアフリカ文学とはまったく違う一面を知ることもできた。この本を読まなければ知ることのなかった歴史。2019/08/27

risu

4
1945年。兄弟をなくし父の暴力に脅える少年と刑務所に勾留されているユダヤ人少年が出会い、逃亡した数日間の物語です。この舞台が一体どこなのか、少年はどこの国、どの言葉を話しているのか…最初は戸惑いました。最後にこの物語の背景もわかりますが、1945年のユダヤ人という決まりきった事実以外の歴史に驚きました。本の短い時間の中で、言葉も通じない少年たちが心を通わせ支えあった、悲しい結末と優しい未来に心打たれました。2020/01/23

御庭番

3
たんたんと、整然とした見本のような文章で、主人公がユダヤ人の少年との出会い、死別するまでを語っている。たんたんと、といっても変にこねくりまわされたような文章の装飾がなくシンプルで流麗な文章というのだろうか、作家の気質が現れている文体だと思った。だからこそ残酷で暗い話でもすーっと入ってくる。そしてこの本を読んで改めて思ったが、やはり日本の戦争文学は、日本側が弱者目線のものが多く、加害者であったという物語が少ない気がする。過ちを認め伝える物語が日本からもっと出てほしかった。【図書館で借りました】2019/12/17

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