約束

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  • サイズ B6判/ページ数 297p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309207247
  • NDC分類 989.53
  • Cコード C0097

出版社内容情報

ナチの命で鉤十字型邸宅を建て、戦後、秘密警察に追われる建築家。妹を失い、犯人を監禁する地下街を造る。衝撃のチェコ・ノワール!

イジー・クラトフヴィル[クラトフヴィル,イジー]
1940年ブルノ生。60年代から短編執筆するも、共産党体制下では発表の機会を断たれ、90年に長編『熊の小説』でデビュー。数多くの国内賞を受賞し、ミラン・クンデラ直系のチェコ作家として不動の地位を築く。

阿部 賢一[アベ ケンイチ]
1972年東京生まれ。東京外語大卒、カレル大学、パリ第4大学に学ぶ。現在、立教大学文学部准教授。著書に『イジー・コラーシュの詩学』、訳書にP・クラール『プラハ』、E・フリンタ『プラハ カフカの街』他。

内容説明

ナチス・ドイツの保護領時代、親衛隊の高官のために鉤十字型の邸宅を設計した暗い過去を持つ建築家カミル・モドラーチェク。共産党による独裁体制が強化されつつあった一九五〇年代初頭のブルノで、かつての栄光とは無縁の仕事をこなしていたが、秘密警官のラースカに執拗につきまとわれていた。唯一の理解者であった妹エリシュカも反体制活動の嫌疑をかけられ、秘密警察の尋問を受けているあいだに命を落としてしまう。最愛の妹を失ったカミルは、棺の前で復讐を決意する。それは、狂気に満ちた計画のはじまりだった。ナチス・ドイツ、共産主義、現在―そう、暗い傷のことから話をしよう。

著者等紹介

クラトフヴィル,イジー[クラトフヴィル,イジー] [Kratochvil,Ji〓´i]
1940年、ブルノ生まれ。11歳の時に父が亡命し、秘密警察の尋問を受けるなど恐怖に満ちた青春時代を過ごす。ブルノの大学卒業後、教員として一時期教鞭を執るが、1970年以降、転職を余儀なくされる。同時に創作活動に励み、短篇やエッセイを雑誌に寄稿。体制転換後の1990年、『熊の小説』で長篇デビュー(トム・ストッパード賞受賞)。以降、ほぼ毎年のように作品を発表し、これまでに二十数点の著書がある

阿部賢一[アベケンイチ]
1972年、東京都生まれ。東京外国語大学、カレル大学、パリ第4大学に学ぶ。東京大学准教授。パトリク・オウジェドニーク『エウロペアナ 二〇世紀史概説』の訳で(共訳)、第一回日本翻訳大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

95
ソ連に支配された頃のチェコ。いつ、誰かが不穏分子としてその存在を消されるかも分からなかった時代。因果は本来、無関係な人に傷を付ける形に理不尽な方向へと廻っていく。建築家がとめどない復讐に駆られて成した事は結局、ソ連がもっとも理想としたチェコのミニチュア版を生み出しただけに過ぎなかった。成長したフラッカローリが人より、無口だと心配されがちな彼女の才能を最初に見出し、一人の娘として無心の愛をくれた父、ラースカ警部の安否不明を語る姿は、ラースカ警部の姿と重ねると、とても痛ましい。2018/07/16

yumiko

75
ミシミシと重たい歯車のように序盤はなかなか話が噛み合わない。代わる語り手、回りくどい比喩、翻訳物特有の読み辛さに、牢獄の中にあるような50年代のチェコを体感させられる。しかし一度がっしりとはまった後はどうだろう。加速度を増しつつ悲劇の崖っぷちへ…しかしそんな浅はかな読者の予想は裏切られる。見ていた景色が反転し、善人も悪役も皆にこやかに登場するカーテルコールのような気さえした。一言で言えば不思議な読後感。不思議で不気味で滑稽で…上手く言い表せないのがもどかしい。興味のある方は是非一読を。2017/04/05

旅するランナー

49
舞台は1950年代チェコスロバキアのブルノ。てっきり、共産主義下の秘密警察による、管理社会を描いてるだけかと思いきや、とんでもない展開が待ってる。クロロフォルムで眠らせて、きれいに並べるって表現が物凄い。妹との約束を守る男の異常行動を堪能します。2017/09/21

Nobuko Hashimoto

39
語り手が次々変わり、それが誰でどう関係していくのかがすぐにはわからない。怪しげなのにどこか笑える。チェコらしいというか。チェコの作家フラバルやクンデラの影響を感じる小説。1950年代、亡命者や反体制派と目された人たちに対する秘密警察の捜査、地下の秘密空間という暗さの極致の設定に、機能主義建築(ル・コルビジェが象徴として言及される)の白くてスマートなイメージが絡み合って、不思議なクールさを醸し出している。チェコその他の実在する文化人や作品名がちょいちょい出てくるので、現実の話かと錯覚しそう(笑)2020/03/25

星落秋風五丈原

36
何と作者の家族まで登場。チェコ第二の都市ブルノに暮らす探偵、建築家など複数の語り手による物語。エミール・クストリッツァの「アンダーグラウンド」みたい。2018/01/15

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