たんぽぽ殺し―デーブリーン短編集成

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  • サイズ B6判/ページ数 393p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309207001
  • NDC分類 943
  • Cコード C0097

出版社内容情報

『ベルリン・アレクサンダー広場』の作家がその才能と実験性を展開した短編を集成。グロテスクでポップな驚くほど今日的な作品世界。

【著者紹介】
1878~1957年。近年、世界的に再評価の動きが強い。他の訳書に『ハムレット――あるいはながき夜は終りて』『二人の女と毒殺事件』『王倫の三跳躍』がある。

内容説明

たんぽぽを殴り殺してノイローゼになる紳士、幽霊との恋、鳥かごのなかで焼かれる聖職者、ワニになった女の子…グロテスクでポップな魅力にあふれた、変幻自在の語りによる二十四の不可能な愛の物語。二十世紀の記念碑的名作『ベルリン・アレクサンダー広場』で知られるデーブリーンは稀有な短編作家でもあった。その異才をあかす二冊の短編集を全訳。

著者等紹介

粂田文[クメダアヤ]
慶應義塾大学理工学部専任講師。専門はデーブリーンなど20世紀以降の現代ドイツ語文学

山本浩司[ヤマモトヒロシ]
早稲田大学文学学術院准教授。専門は戦後のドイツ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

38
『たんぽぽ殺し』と『ローベンシュタイン人のボヘミア大移動』の2つの短編集が収められています。前者のほうが幻想味が強く、後者は人間や社会への毒が強くなったような印象を受けました。ただ、ドタバタ劇の『ローベンシュタイン人~』を除くと20~30頁ほどの短編ばかりなので、単純に幻想的で悪夢的でシュールな物語として楽しいです。表題作2作は特に印象的なのですが、どこまでも感情移入を拒否するような『変身』、残酷な童話のような『伯爵になった下男』のほか、『クロコダイル』『ドレスデン=ブカレスト線』なども好きでした。2017/01/12

ヘラジカ

28
短編にも拘わず一部の作品を除いて最後まで迷わずについていくのが非常に困難。当然、読み始める前にある程度の覚悟はしていたものの、よもや短編集にここまで難儀するとは思いもよらなかった。二つの表題作以外は殆ど難渋を極める読書であった。ただしデーブリーンの大作『ベルリン・アレクサンダー広場』はこの短編集の中でも一番読みにくいのを長編化したような作品なので、それに比べたらかなり優しい一冊ではある。『ベルリン~』への挑戦を考えている人には、是非こちらの短編を一読することをお勧めしたい。2016/03/02

春ドーナツ

20
本書には二つの短篇集が収録されている。第一のそれについて書いてみたい(私好み)。「月の光、夏の花嫁の幸せ、かっこうの鳴き声、散歩し、乳母車を押していく静かな共同生活。それらが永遠に奪われたのだ」(78頁『たんぽぽ殺し』)12編全体の音調は上記引用に代表されると思う。窓ガラスは叩き割られ、花瓶は床に落とされなくてはならないのだ。読者はそこに暗示を読み取る。ドイツ表現主義は「客観的表現を排して内面の主観的な表現に主眼」(Wikipedia)が置かれているから。けれども今回は字義通りに読むのもありかも知れない。2018/10/31

gu

8
初期の作品集である『たんぽぽ殺し』と後期の『ローベンシュタイン人のボヘミア大移住』の二部に分かれる。初期作品の幻想的な神経質さは感動を覚えることもあったが読んでいると体調が悪くなりそうで少しずつしか進めなかった。後期作品の乱暴さは酷すぎてむしろクールだ。2016/05/05

7
短篇一つ一つが、奇矯な世界の要約の如き濃密さで迫りくる。独自の思考を持つ人々を、実験的な技巧で文章に留めおく。異能の才人。2017/04/03

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