ブロディ先生の青春

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  • サイズ B6判/ページ数 189p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309206844
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

1930年代英国の保守的な女子校を舞台に、進歩的な女性教師ブロディ先生とお気に入りの生徒たちを描く青春小説かつ裏切りの物語。映画『ミス・ブロウヂディの青春』原作、待望の新訳!

内容説明

ジーン・ブロディ先生は誇り高く、ロマンティックで生徒たちの憧れの的。授業は型破りで、校長とは反りが合わない。先生のお気に入り「ブロディ隊」も学院中から特別な目で見られた。ブロディ先生は二人の男性教師と親しく、多感な年頃のブロディ隊は、先生の恋と性に興味津々、想像を逞しくする。ブロディ隊であることは誇りであり、みな先生を崇拝していた。だが、先生の指導は次第にエスカレートし…。20世紀最高の青春小説、待望の新訳決定版!

著者等紹介

スパーク,ミュリエル[スパーク,ミュリエル] [Spark,Muriel]
イギリスを代表する詩人、作家。1918年スコットランドのエディンバラで生まれた。ブッカー賞候補となったLoitering With Intentなどがある。小説のほかに児童書、ラジオドラマ、戯曲、メアリー・シェリーやエミリー・ブロンテの評伝も書いた。短篇デビュー作「熾天使とザンベジ河」でオブザーヴァー紙短篇賞を受賞して注目され、英国文学賞、T・S・エリオット賞をはじめ、エドマンド・キャンピオン賞、スコットランドの年間ベストブックに与えられるサルタイア賞、ボッカチオ国際文学賞、ゴールデン・ペン功労賞など受賞多数

木村政則[キムラマサノリ]
1968年生まれ。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

65
スパークの最も多元的に内容を分析できる最高傑作。表紙もルネ・マグリットの「ゴルコンダ」に似せて描いているのが印象的。生徒の個性と自由を謳いながら実は支配的だったブロンディ先生。先生の「一流中の一流」という言葉にイラっとさせられるのはどうしてなんだろう(怒笑)そんな先生に学生時代は囚われながらも次第に自分自身の目で周囲を見て自分を貫き、先生から精神的にも肉体的にも支配から逃れていく女の子達(一人は違うけど・・・)に拍手。そしてブロンディ先生を裏切ったユダがあの子だったことに凄く、納得しました。2015/11/07

藤月はな(灯れ松明の火)

62
再読。初読時はブロディ先生の事を「周囲が見えない愚かな女性」だと思っていた。再読してからは「年齢や行動力のない自分に自信がないが為にありもしない事を夢見る事・理想や望みを他者に仮託する事で自身を保つ女性」だったのではないだろうか。彼女がメアリーに殊更、冷淡だったのは知識を持たなかったかもしれない自分自身を重ねていたのかもしれない。しかし、自分の恋の成就を10代の生徒に委ねるのはどうなの・・・。後、ロイド先生の発言は今ではモラハラ・セクハラだ。そして過去と現在が入り混じる構成こそ、読者を冷静にさせるのが巧い2022/07/08

りつこ

52
ようやく読了。なんて意地の悪い話なんだろう。思春期の女の子たちの熱狂と感じやすさがひりひりと痛い。愛が憎しみに変わり、崇拝が軽蔑に変わる瞬間がとてもリアルでとても辛い。美しくて理想に燃えていてキラキラ輝いていたブロディ先生。きっと彼女は自分の崇拝者であるブロディ隊と長く一緒にいすぎたのだ。それは彼女自身の孤独がそうさせたんじゃないかと読んでる私は同情的になるのだが、作者スパークはそういう「悪」を決して許してはくれない。そんな気がする。きびしー。2017/05/28

星落秋風五丈原

43
ブロディのモデルがスパークの知り合いだと聞けば半自伝小説とも言えるし、超個性的な教師や生徒達の学園コメディの要素もある。1930年代のエディンバラを活写した社会派小説でもあり、自分の事が見えているようで見えなかった、ある一人の哀れな女性をしんみりと偲ぶ趣もある。こう様々な顔を持っていると、作品のジャンル分けをしようという気さえ失せてしまう。だが、ジャンル分けなどしない方がかえっていいのかもしれない。何かの意味を求めたり、定義づけようとする度に、不敵な笑みを浮かべて、どこかへ飛んでいってしまいそうだ。2016/01/12

くさてる

24
表紙の装丁がとても印象的。上品そうな中年の女性を中心に、制服姿の少女たちが、学校を背景に不安定に浮かんでいる。この不思議さが、そのまま内容の不穏さと奇妙さを現している。ブラックユーモアがキツく感じるくらいに、意地悪な目線で語られる、オールドミスの教師と彼女に心酔する少女たちの過去と現在。嘘と偽りと情熱。どう表現したらいいか分からない、時代も舞台も現実と幻想も入り乱れる奇妙なストーリーに、笑っていいのかどうかためらわれるユーモアが何度も弾ける。なんとも落ちつかない読後感でした。面白かった。2015/11/04

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