私のいた場所

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  • サイズ B6判/ページ数 218p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309206318
  • NDC分類 983
  • Cコード C0097

出版社内容情報

現代ロシアを代表する女性作家による、本邦初の幻想短篇集。現実と非現実、生と死の狭間をたゆたう女たちを強靱な筆致で描く18編。

【著者紹介】
1938年モスクワ生まれ。現代ロシアを代表する作家。リアリズム的作品から幻想小説や童話まで精力的に執筆。トライアンフ賞、世界幻想文学大賞など受賞多数、国内外で高い評価を受ける。代表作に長篇『時と夜』。

内容説明

空を飛ぶ病身の女、キャベツの赤ん坊を育てる母親、身体を入れ替えられた妻、生の心臓を食べたがる娘、マッチを擦る黒いコートの少女―。世界幻想文学大賞受賞の現代ロシアを代表する作家、待望の傑作短編集!

著者等紹介

ペトルシェフスカヤ,リュドミラ[ペトルシェフスカヤ,リュドミラ] [Петрушевская,Людмила]
1938年モスクワ生まれ。モスクワ大学ジャーナリズム学部卒業後、新聞記者、テレビ番組の編集者などで生計をたて、1960年代半ばより小説や戯曲を書きはじめたが、あまりに赤裸々で暗い現実描写のため、長い間ほとんどの作品が日の目を見ない「禁じられた作家」だった。しかし、1980年代後半以降は現代ロシアで最も実力のある作家と認められ、96年には、全5巻の作品集が出ている。リアリズム的作品から幻想小説や童話まで、精力的に執筆。ロシアでトリウンフ賞、ロシア国家賞などを受賞したほか、英訳短編集で世界幻想文学大賞を受賞するなど、国際的にも高い評価を受けている

沼野恭子[ヌマノキョウコ]
1957年東京生まれ。東京外国語大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

74
村上春樹『恋しくて』に収められた彼女の短編が素晴らしかったので、彼女の短編集を読んでみたくなった。幻想的で生と死の境が曖昧。彼女のお話では、成長した娘は母との確執を抱え、男たちは妻に愛されず、父はひたすら子供を愛する。しかし、家族の絆が結局はつよく描かれている。表題作『私のいた場所』『老修道士の遺言』が特に心に残る。2014/06/25

kana

48
木々がざわざわと不穏な葉擦れの音を立てる中、薄曇りの寒々しい空の下、ひとりぼっちで歩いているような読み心地のロシアの女性作家による奇想短篇集。現実も夢もいずれも決して美しく理想的な場所ではなくて、ただ、いつもそこには、コントロール不能な、人間の強い感情がある。チェーホフの「かわいい女・犬を連れた奥さん」を読んだときの寂寞とした気持ちを思い出し、その意味で本作は、ロシア文学のスピリッツを受け継いでいると感じます。また、この手の奇想短篇集の中では大変読みやすく、それは訳者の丁寧な翻訳の賜物でもあるでしょう。2013/11/10

Miyoshi Hirotaka

45
死者と生者が交流したり、生と死の境を行き来したりするのは、耳なし芳一や四谷怪談のようなわが国のだけのお家芸ではないようだ。植民地化を回避し、明治期に西洋文明のアラカルトが可能だったわが国は文学ではロシアを選択。当時、黄金期にあったロシア文学を仲介し、その後の影響を決定づけたのは近代文学の開祖二葉亭四迷。キリスト教国なのに驚く程死生観が似ている。戦死した夫が訪ねてくる話は、かぐや姫の「あの人の手紙」に酷似。国同士は対立するが、既視感のある作品に時空を超えたつながりを感じる現代ロシア文学の怪談・奇談の短編集。2016/03/01

42
幻想的なのは間違いないですが読むとするならば後書きから読んだ方が楽しめます。何故ならばあまりにも幻想的過ぎて何を書いているのか、何がどうなっているのかがわからなくなるから。大部分が生と死の狭間の時間に起こっている事柄が書かれていて結果として生還する若しくはそのまま死を選ぶかのどちらかの結末ですがどちらにせよ読者はいつの間にか生死の境目に誘われているので後書きから読むとはっきりとわかると思います。一番分かりづらいのは名前ユーリャ、アーニャ、、リャーリャ、スチェージャ、ヴェーラ、、ワーシャなどなど。。。2017/02/28

藤月はな(灯れ松明の火)

38
「奇跡」での「懺悔しなさい」という奇跡の男に「私は罪は犯していない」と煩悶しながらも自分に厄介事ばかりもたらす優柔不断で寄生虫のような弱い息子へ「早く、死んでほしい」と結論を出すまでの心の澱みの濾過の仕方の描写が凄まじくて呑まれるかと思いました。そして「復讐」での自分は殺意と蔑みを持って相手を憎む程、相手は恥知らずにも自分を一層、信頼するという閉塞感は、同性との歪だが成立する関係性をよく、知っていないと書けない。2016/02/24

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