不浄の血―アイザック・バシェヴィス・シンガー傑作選

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  • サイズ B6判/ページ数 315p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309206172
  • NDC分類 929.733
  • Cコード C0097

内容説明

愛と血と欲望と悪魔うごめく世界。ノーベル賞作家の傑作短篇からさらに精選。「永遠の法則」を追いつづけた人生の終盤で、思いがけない恩寵にめぐまれる初老の男(「スピノザ学者」)、実直で少し抜けていて、みんながからかうギンプルが出会う、信じがたい試練の数々(「ギンプルのてんねん」)、ポーランドの僻村に暮らす靴屋の一族の波乱万丈な流離譚(「ちびの靴屋」)、年老いた夫の目を盗み、牛を切り裂きながら愛人との肉欲に耽る女の物語(「不浄の血」)…。エロスとタナトス渦巻く濃密な世界を、滅びゆく言語(イディッシュ語)でドラマチックに描いた、天性の物語作家の傑作集。

著者等紹介

シンガー,アイザック・バシェヴィス[シンガー,アイザックバシェヴィス] [Singer,Isaac Bashevis]
1904年ポーランド生れ(1902年という異説もある)のイディッシュ語作家。ユダヤ系聖職者の家に生れるが、広く世俗文学を愛し、ワルシャワでデビューした後、同じくイディッシュ語作家の兄イスラエル・ジョシュア・シンガーのあとを追うようにして、1935年に渡米。1943年に帰化するが、その後も一貫してイディッシュ語で創作を行い、一部作品の英訳にも従事。17世紀のポーランドを舞台にした歴史小説もあるが、近代化に乗り遅れた東欧のユダヤ人集落を舞台にした軽妙な小噺風の短篇が独特の味わいを漂わせている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

37
滅びゆくイディッシュ語で綴られるからこそ、際立つ諧謔と眩惑の世界。自分の精神的ともいえる煩悩と魔の惑わしに苦悩する人々のラストも魔を取り出すことで説明づけしているのかな。ユダヤ教での風習が濃密に描かれている一方で律法などの暮らす人々を惑わす「悪」の存在や死生観も興味深い。特に「ギンプルのてんねん」はギンプルがいい人なのに馬鹿にされ続けるけど、救いがあるのがほっとします。「ちびの靴屋」はアメリカの文化圏との対比を併せ持ちながら優位だと思っていた位置が逆転するのは文化人類学的な視点から見ても興味深いと思います2013/06/07

りつこ

17
うーむ、難しい。宗教は救いではなくむしろ苦しみを与えているのではないかと思ってしまうなぁ。宗教心の強い人が屑殺人をやらざるを得なくなり気が狂ってしまったり、悪魔に目をつけられて孫の代まで呪われたり…。結局のところ作者は何をつたえたかったのだろうか。私にはよく理解できなかった。これらの短編を読んで私がかんじたのは、人間は悪魔に魅せられやすくそうなったときどこまでも残酷になり、しかしその先に待ってるのは破滅のみ、ということだった。2013/08/12

すけきよ

17
内容的には普通に民話っぽいだけど、OSがユダヤ教なので、なかなか感触は新鮮。また、死がすぐ後ろにある、というほど、我々の世界とかけ離れてはいないんだけど、ユダヤ教では屠殺人が非常に重要な地位なので、なんとも血なまぐさい気配が物語には漂っている。この、ユダヤ教における屠殺人については詳しく知りたくなったなぁ。あと、出てくる女性が、ふくよかで腕まくりしているような印象(笑)で、やたらと逞しい。味わい深い作品ばかりなんだけど、お気に入りは、「ちびの靴屋」「呼び戻された男」「黒い結婚」「不浄の血」2013/03/27

白黒豆黄昏ぞんび

11
ユダヤの教訓話。読むのに時間がかかったけど、どの話もすごく面白かった。悪魔や悪魔に騙される女、悪魔のような女が色々出てくる短編集です。表題の「不浄の血」は脂ぎったエログロで匂い立つよう。敬遠しないで他のも読んでみたい。2014/02/26

けいと

9
「スピノザ学者」 梯子を昇って天窓から星を見つめるところ情景が浮かんで来てとても美しいと感じた。「ハンカ」「老いらくの恋」も好き。2013/06/21

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