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ル・クレジオ、映画を語る

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  • サイズ B6判/ページ数 243,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309205960
  • NDC分類 778.04
  • Cコード C0098

内容説明

リュミエール兄弟、溝口健二、パゾリーニから、マフマルバフ、イチャンドンまで。ノーベル賞作家が、映画芸術への愛を熱く語る半自伝的エッセイ。

目次

夜の闇のなかで明々と
幕間一 フィルム編集係のガビーは
神々、
笑いから涙へ
幕間二 小津の部屋
戦争 あのころは映画といえば
当時、革命は
幕間三 スティーヴン・トボロウスキーのこれまでの生涯
カメラを携えて、
恋愛は、〔ほか〕

著者等紹介

ル・クレジオ,J.M.G.[ルクレジオ,J.M.G.][Le Cl´ezio,Jean Marie Gustave]
1940年南仏ニース生まれ。1963年のデビュー作『調書』でルノドー賞を受賞し、一躍時代の寵児となる。その後も話題作をつぎつぎ発表するかたわら、インディオの文化・神話研究に着手するなど、文明の周縁に対する興味を深めていく。2008年ノーベル文化賞受賞

中地義和[ナカジヨシカズ]
1952年、和歌山県生まれ。東京大学教養学科卒業。パリ第三大学博士。現在、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授。同大学文学部長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

燃えつきた棒

36
本書は、第六〇回カンヌ映画祭を記念して二〇〇七年に刊行された彼の映画論の翻訳だが、訳者があとがきで書いているように《映画論というよりも、長年にわたる映画体験がひとりの作家にもたらしたものを、文学的エクリチュールには純化したエッセイである。》/ 幼少期を過ごした祖母の家での映画体験に始まり、溝口健二の『雨月物語』や小津安二郎『浮草物語』へ熱いオマージュが捧げられる。2021/05/05

踊る猫

31
フランスの池澤夏樹? 無色透明の明るい散文だが、メッセージ性は強く実は密かに政治的。日本を含めた世界中の映画を狩猟し、それを巧みなバランスを取って紹介する。彼の精神史に裏打ちされた紹介/エッセイなので、読んでいて息苦しくならないし不愉快でもない。映画に人を誘う力がある。ただ、彼が実は影響を受けたかもしれない五月革命についてももっと書かれていたらとも思う。もっと濃い内容でも良かったかな? 彼の散文は実に生きる力が通じていて、暑苦しくない程度にホット。それをこの翻訳ではよく表していると思う。入門編としてもOK2020/04/19

踊る猫

26
ル・クレジオの書いたものを読むと、そのしなやかで懐の深い思考に唸らされる。思い起こせば『物質的恍惚』でも彼は日本映画の巨匠ミゾグチを出してシンパシーを綴っていなかっただろうか。若い頃からシネフィルであり、かつ一流の知性を備えた存在として別け隔てなく各国の映画に触れ、そこから何かを学び取ろうとするスタンスを感じる。だが、彼の鑑賞/読みはあくまで作家に徹し「書くこと」を突き詰めんとする姿勢から来るものであることもまた確かだ。ペンと紙で表現できる小説という媒体から学んだことを、彼は映画鑑賞に活かし批評を「書く」2022/04/10

Happy Like a Honeybee

8
唯一の決定的な映画とは、ひとりの人間の人生を20分で見せてくれる映画である。 仏を代表する文学者の映画評論。作家だけに幅広い作品を参考にしている印象。 小津映画の崇高さ。敗戦直後の緊張感が、雨月物語の幻想さを演出したと。 久々に名画に触れたくなった。2017/05/24

geromichi

5
エピローグの「終」の文章が良かった。「「終」はまさしく、映画全体のなかで最も不思議な言葉である〜中略〜立ち上がって脱いだ上着を着、いとまごいをし、改悛者の列に交じって現実にたち戻り、映画館に入るときに背後に残した歩道の縁が先ほどと変わりなく、いやいっそう現実味を増して、以前よりもうす汚れた姿でたち現れるのを見なさい、と告げるためだったのか」2019/07/20

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