ヴォイス―西のはての年代記〈2〉

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  • サイズ B6判/ページ数 352p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309204789
  • NDC分類 K933
  • Cコード C0097

内容説明

“西のはて”の都市国家アンサルは、オルド人の侵略によってかつての栄光を失い、文字を邪悪なものとして恐れるオルド人から書物をもつことが固く禁じられていた。名家出身の母がオルド人の兵士に襲われて身ごもった子どもである少女メマーは、侵略者たちを憎み、復讐を心に誓いながら成長する。ある日メマーは、交易と文化の担い手だった一族の館の小部屋に本が隠されていることを知り、当主である道の長からひそかに教育を受けるようになる。メマーが十七歳になったばかりの晩春、アンサルに“高地”生まれの詩人オレックと、その妻グライがやって来る―。

著者等紹介

ル=グウィン,アーシュラ・K.[ルグウィン,アーシュラK.][Le Guin,Ursula K.]
1929年カリフォルニア州バークレーに生まれる。1962年に作家としてデビュー。斬新なSF/ファンタジー作品を次々に発表し、ほどなく米国のSF界の女王ともいうべき輝かしい存在になる。SF/ファンタジー以外の小説や、児童書、詩、評論などの分野でも活躍。代表作に『闇の左手』、『所有せざる人々』、「ゲド戦記」シリーズ、「空飛び猫」シリーズほか。ネピュラ賞、ヒューゴー賞、ローカス賞、ボストングローブ=ホーンブック賞、全米図書賞、マーガレット・A・エドワーズ賞など数々の賞を受賞

谷垣暁美[タニガキアケミ]
1955年生。1988年から雑誌記事や英米の小説、ノンフィクションの翻訳に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

104
何てすばらしい物語! 本と猫への愛が伝わってくる。 ハーフライオンの魅力的なこと。(多分小さめのライオン) 占領され焚書された都市国家、秘密を抱えた古い館にひっそり住む少女が主人公。前作の若かった二人が魅力的な中年カップルとして登場してくるところも良い。 ル・グィンの考え方が随所に現れるのですが、晩年だから深い。 伸び伸びした女性観がきっぷが良い。2021/04/02

Die-Go

52
追悼ル=グウィン。再読。前作『ギフト』での主人公であった、オレックとグライは脇役。主人公は、港湾商業都市アンサルの名家ガルヴァ家の血をひきつつも、侵略者オルド人との不幸なハーフであるメマー。彼女と脇役二人との出会いが物語を大きく動かしていく。オルド人は本を恐れ、焚書に近いことをする上に本の持ち主をも迫害する。その本を大量に保管しているガルヴァ家の秘密とは。   表題のヴォイスの意味を探り探り読んでいたのでちょっと苦労したが、物語そのものは明るさに満ちたもの。憎しみからの脱却も大きなテーマ。★★★★★2018/03/01

星落秋風五丈原

31
第一作で悩める若者だったオレックとグライは結婚して有名詩人とその妻になっている。オレックは自らギフトを選び取り、グライは他者を害しないもともとのギフトを使っている。偶像崇拝を禁じ、女性の社会進出を阻み、銃を手に町を闊歩するタリバンから逃れようと、今アフガニスタンの国民は必死で国外逃亡に向かっている。アンサルは、米軍撤退によってタリバンに支配されたアフガンのようだ。書物を禁じ、女性とみれば先のように乱暴な振る舞いに及ぶオルド人が支配層。2021/08/23

tom

20
とても面白い物語。さすがのル=グウィン。ゲド戦記も面白いと思ったけれど、この物語は、異能を持つ人の物語でもあり、少女の成長物語である。グウィンさんのテーマである文化の衝突でもあり、文字と本に対する尊敬の物語でもある。四拍子そろったこの物語に、次は何が起きるのかと、ついつい前のめりになって読み進めた。語り部としてのグウィンさんの本領発揮。SFファンタジーとなると、少々面倒くさくて、理解しながら読むのに一苦労することが多いのだけど、この本は楽しい。さてさて、次は最終巻。どんな物語が待っているのか。2021/11/22

湖都

16
「西のはての年代記」2巻目は、アンサルという征服された街の名家の少女・メマーが主人公。1巻のオレックとグライが早くに登場し、成長した姿を見せギフトをふるってくれるのが嬉しい。予言のことは置いておいて、メマーとオレックを始めとする人々の「声」の力で局面が変わるのと同じようなことが、私達の歴史上でもよくあったように思う。願わくば、声のギフトを持つ人々が前向きな力を発揮してくれますように。あと、アンサルの本を守る秘密の部屋があって良かったと、読書家として心から思う。2019/06/09

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