内容説明
亡くなった父さんと過ごした日々、母さんの素敵な微笑み、幼いまま死んでしまった妹の写真、過ぎ去った時間や変わってしまった場所、かなたに消えた人々…あらゆる人の記憶の断片を呼び起こす、とても優しくて大切な19の物語。
著者等紹介
アーモンド,デイヴィッド[アーモンド,デイヴィッド][Almond,David]
北イングランドの古びた炭鉱町に生まれる。幼い頃より物書きを目指し、20代はじめから小説や詩、戯曲を書き始める。1988年、初の小説『肩甲骨は翼のなごり』が大反響を呼び、優れた児童小説に与えられるカーネギー賞、ウィットブレッド賞を受賞。2003年の『火を喰う者たち』では、ボストングローブ・ホーンブック賞、スマーティーズ賞、ウィットブレッド賞を受賞している
金原瑞人[カネハラミズヒト]
法政大学教授。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
24
亡くなった父さんと過ごした日々、母さんの素敵な微笑み、幼いまま死んでしまった妹の写真、過ぎ去った時間や変わってしまった場所、かなたに消えた人々...あらゆる人の記憶の断片を呼び起こす、とても優しくて大切な19の物語2006/04/13
メイ&まー
19
ぼく、とその兄弟姉妹、父と母の絆を核にした優しくて切ないお話たち。時系列はばらばらで、それがとてもよい。父や妹が亡くなり悲しみに暮れ、そしてまた彼らが在りし日の優しい1日が語られ、ときには彼らの幽霊というか魂?とキッチンで会話したりもする。外国のお話なのでちょっと距離を感じるけれど、子供の頃を甘く懐かしく思い出させるような読み心地。時には友達や教師たちの残酷さにちくりと胸が痛んだり、どうにもならない悲しみに神様ひどい!と苦しくなったり。特に、星を数えて、は何だか切ない。ぼく、は自分を責めたりしただろうか。2014/12/09
ぱせり
14
少しグロテスクで、透明感のある美しさが印象的。息をとめていないと空気の中に溶けていってしまいそうなくらいのはかない一瞬一瞬。「ぼく」は作者自身だろう。全部このとおりでないだろうが、作られた物語のほうが、よりいっそう真実を映しだすこともある。この一瞬一瞬の輝きが、かけがえなく思えてくる連作短編集。2012/05/28
ヴェルナーの日記
13
父のジェームズ、母のキャサリン。兄のコリン、妹たちのキャサリン、バーバラ、メアリー、マーガレット。そして僕のデイヴィッド。過ぎ去った時間や変わってしまった場所、消えていった人々の思い出を子供の頃を記憶を元につむいだ儚くてちょっと切なくなる19の物語。作者アーモンドの少年の頃の思い出を元に描かれている。1960年代のイギリスの小さな炭鉱の町フェルングが舞台。アーモンドの作品は、ファンタスティックなものが多いが、今作は一連の作品の中で、もっともリアルスティックな作品に仕上がっている。2010/12/01
秋良
8
幼い頃から思春期くらいまでの男の子の断片的な記憶。時系列がバラバラなのが、思い出したことからつらつら話しているみたいになっている。そうだよね、子どもの頃の記憶ってふっと頭に浮かんだり、背後から襲ってくるようにやってくる。大人ぶったり悪ぶったりしてても、家族に甘えてる(それは全幅の信頼を置いているんでもあるけど)とこがリアル。2018/06/03