内容説明
「世界の歌」というタイトルにふさわしい物語を書きたいという野心をジオノは持っていた。…「世界」とは、人間の世界であると同時に、動物や植物さらに山や河や平野など自然界のありとあらゆる世界でもある。…二人の主人公を中心に、漁師、きこり、医者、牛飼い、革職人など、多彩な人物が繰り広げる壮大な感動の物語。
著者等紹介
ジオノ,ジャン[ジオノ,ジャン][Giono,Jean]
1895年、南フランス、オート=プロヴァンスのマノスクに、靴職人の父と洗濯屋を営む母の一人息子として生まれる。16歳で銀行に勤め、第1次大戦に応召後、プロヴァンスの自然と人間を描く斬新な三部作『丘』『ボミューニュの男』『二番草』(以上1928‐30年)を発表し作家活動に入る。第2次大戦後に作風が一変し、“年代記=クロニック”という物語群(『気晴らしのない王様』など)を世に出す。童話ふうのスケッチ『木を植えた男』(アニメ化)の作者としても世界的に有名。1970年没
山本省[ヤマモトサトル]
1946年、兵庫県生まれ。京都大学文学部卒、同大学院博士課程中退。信州大学農学部教授。専攻は、フランス文学、環境文化学。長野県松本市在住
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感想・レビュー
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ぺったらぺたら子
18
苔、柳、松、楢、泥の匂い。森の様々な匂いに溢れる。河と繋がる男。海と繋がりながらも海を去り森に住む男。牛と繋がる男。人と自然との霊的な繋がり。文明をご破算にしたような自然に支配された世界で裸の人間たちが神話的に交わす詩の言葉。そして裸の人間同士の戦いや愛。闇と光、匂い、匂い、匂いと音。ミントの葉の様な目を持つ盲目の娘、クララは云う「私が不思議に思うのは、あなたたちが見る!と言っているのがいったいどういうことなのかということよ。というのも、あなたたちはいつも間違っているのだから」。最後は春の匂いに包まれる。2017/03/02
ykshzk(虎猫図案房)
13
少し前、遠野物語(井上ひさしの新釈版)を読んで、こんな不思議な話がすっと入ってくるのは私が日本人だからかと感じた。この本も、内容は全く違うのだが同じようなことを感じた。民俗学的で、自分の体を流れる血をもって感じ取る内容のような。そう理解した結果、当然、私がこの本を読んで感じ取れる内容は西洋人のそれには全く及ばないのかもしれない。本を読みながら、五感、特に嗅覚の意識が鋭敏になるような感じ。大地と人間との関わり合いをまるごと体感出来そうな本なだけに、西洋人ならもっと楽しめているのかと残念に思われる一冊だった。2020/08/05
chima
0
『木を植えた男』に感動してこれを読んでみたのだけどさっぱり分からなかった2012/11/02