閉鎖病棟

閉鎖病棟

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  • サイズ B6判/ページ数 314p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309203218
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

職業医師として、年来、私は性的強迫観念が色濃く滲み出た情事の破局に関心を懐いている―本書の語り手、ピーター・クリーヴはそう語る。1959年の夏、精神科のマックス・ラファエルはロンドンからうらさびた土地にある、堅固な精神病院に副院長としてやってくる。並外れた美貌と知性をもちながらも孤独な彼の妻ステラは、そこで、狂気の彫刻家、危険な入院患者であるエドガー・スタークと宿命的な出会いをする。堰を切ったように情事に走る二人。そして作中人物たちはそれぞれに自らの悲劇を手繰り寄せていく…。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

shizuka_電気うさぎ

7
現代版ボヴァリー夫人?と思いつつ面白く読んだ。全編通して語られる階級社会の厭らしさは英国小説の王道。ステラが少しずつ安穏で退屈な世界から逸脱し始め、やがて狂気に陥っていく過程に(実経験がなくとも)共感してしまう。ラストの展開は「そうきたか!」に始まって支配階級の横面を張り倒すような黒い満足感をおぼえるとともに強烈な愛を見せつけられた。しかも最後の最後まで額面通りに受け止めていいのか迷うような不確かさがあるのがいい。文章も流れるようなリズムと品の良さがあってとてもよかった。2016/01/05

Ai

4
ステラが、エドガーを愛することを通して、堕ちていくことに快楽を覚えているように感じた。一見、客観的な語り部の立ち位置にいる精神科医ピーターだが、実はステラの良心的な後見人の立ち位置で、彼女に食指をのばしているように感じる。こいつが一番始末が悪い。2016/12/27

勉誠出版営業部

3
パトリック・マグラアの『閉鎖病棟』を読了。タイトルからして不吉さが漂いますが、冒頭でもこれから不幸な話が始まることが予め提示されます…。精神病患者を愛したことで破滅していく医師の妻(とその周辺)を描いた作品。2016/03/19

sundance1973

2
著者のバックグラウンドが存分に生かされた傑作心理サスペンス。主人公ステラの心が歪んでいく様をまるで顕微鏡越しに観察してでもいるかのような語り手が恐い。「閉鎖病棟」と聞くと狭っ苦しい感じがするけれど、本作の舞台は映画『シャッターアイランド』に出てくるような広大な敷地を持つ病院施設。のどかな田園風景と狂気とのコントラストが鮮やか。そういえばこれ、一時はリーアム・ニーソン主演、ジョナサン・デミ監督で映画化の予定だったんだよね。見てみたかったなあ。2015/04/23

サワ

2
素直に読むと破滅的な悲恋の話なんだけど、語り手がいくら主治医にしても主人公の細かい心情や状況を知りすぎていて、どこまで本当なのか疑問が残る。信頼出来ない語り手もの、かつ登場人物がみんな不幸になる嫌な話でとっても好みだった。硬くてねちねちした文体も語り手の性格を表しているようでいい。また、紅茶とジンが頻繁に飲み物として出てくるのがイギリスらしいと思った。2014/08/17

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