内容説明
プロヴァンスを舞台に、鮮烈な文体で描かれた詩情豊かな物語。人間の深い哀しみと豊饒なセレモニーが織りなす感動的な世界。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
帽子を編みます
2
初読は、かなり昔です。フランスの高校生の課題に出される本、日本での『山月記』や『こころ』みたいな本だとのことで興味を持ち読みました。 村人たちが次々と殺されていく、刑事が逮捕するが、彼も最後に死ぬ。推理小説ではないのです。雪に落ちた血、白と赤の対比、それを美しいと感じてしまったものが、血を求めることを繰り返さずにいられない。悪が伝染してしまう、それをどう浄化するのか…。人によって論ずるところが違ってくるような小説です。私だったら、日本での、桜と死体の小説と比較しながら述べていくかな…。2020/04/11
つゆり
0
3人の語りによって主観的に生み出されるため、本なのに「読んでいる」というよりも「聞いている」という感覚に近い。 回想しながらの語りはすべてを説明することなく、語り手にとって重要なこと、伝えたいことに限られる。分からないままで終わる部分もありつつ、聞き手として想像するのが楽しい。 題名の「王様」はいつ出てくるのだろうと思いながら読んだ。 訳者による解説も楽しめた。2016/02/02