音楽のレッスン

音楽のレッスン

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  • サイズ B6判/ページ数 164p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309202112
  • NDC分類 954
  • Cコード C0097

内容説明

17世紀フランスから古代ギリシア、春秋時代中国へ。マラン・マレ、サント・コロンブ…。失われた声を求める音楽家たちの生々流転のレッスンを描く。映画「めぐり逢う朝」の原点となったキニャール文学のエッセンス。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

内島菫

31
小説あるいは随筆というよりも、キニャールの頭の中にいるという印象を強く受ける文章だった。男性の声変わりについて、これほど偏執的で示唆に富むレース編みのような(繊細だが目が詰め込まれていない)本に出会ったことがない。男性が女性について、ほとんどうわごとのように強迫観念的に語ることを強いられている語りよりも、男性が男性自身の以前あるいは以後についてまで直観的に語っている方がやはり面白い。偶然、本書を読んでいるときラジオからマラン・マレの「迷宮」が流れてきた。2018/05/02

松本直哉

10
詩でもない 小説でもない 断章の連続 強いて言えばニーチェのアフォリズムに似ているか 17世紀フランス 古代ギリシャ 春秋時代の中国と舞台を変えながら明滅するのは「声変り」の主題 神の持つ声 ソプラノを少年において喪う 男 もはやひび割れた 山羊の声しか出せない 少年合唱団から追放 その後の生は 失われた声を求めて さまよう 音楽とは そのような 失われたなにものかへの 渇望 憧憬 なのだろう2013/12/01

4
比喩的な思考の参考にはなった。2016/10/21

nbhd

3
どうも大変なものを読んでしまったが、どれだけ大変なものか、説明する言葉を探すのがまた大変だ。フランス、ギリシャ、中国と時代をこえて語られる〈つかみとることのできない音楽〉の話。随筆とも小説とも読める散文は難解なのだが、そこに生じている重力は確かなものだ、これだけははっきり言える。これがキニャールの作品の母胎だったり、子宮なのか(…訳者解説が、詩になってしまっているように、この作品は詩の言葉でないとうまく対応できない)。2013/06/21

Kaname Funakoshi

2
小説のような詩のような哲学書のような散文のような三篇からなる小説。声変わりにより歌を失った少年マラン・マレが、ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)によって再び世界一の「歌」を手に入れる物語。人は何かを失うことで脱皮して前に進むことに気付いたマケドニアの若者の物語。師匠に与えられる苦しみを超えて全人的な演奏を手に入れる少年の物語。訳者の丁寧な文体もあるけど、良い作家を見つけてしまった。フランスのパスカル・キニャール。2018/06/04

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