余白の街

余白の街

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  • サイズ B6判/ページ数 227p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309202006
  • NDC分類 953
  • Cコード C0000

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

渡邊利道

3
67年の長編。愛する妻子からはなれ、カタルーニャの街で娼婦と建築の迷路に彷徨う男の物語。これまでの作品に比べて茫洋としてひたすら陰鬱で焦点のはっきりしない記述が続くのだが、全編に濃厚にたちこめるエロスとタナトスの気配がラストに至って一気に白熱し、これもまたゼノンの矢のような作品であったと知る。細部のバロックな魅力には乏しいが、この乏しさそのものに作者の強い欲動があるのだろう。これでゴンクール賞をとったというのはある意味なるほどなあと思ったり。2017/09/04

勉誠出版営業部

2
アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの『余白の街』を読了。話の筋としては、妻子のある男性が、生活に飽きて(?)スペインに一人旅に出るというものですが、後期の作風への助走なのか、とにかくぼやかした書き方なので、読み手を混乱させることこの上なし。2015/04/08

みさ

2
ひどく精神力を消耗した。彼と共に本当に余白を丸二日味わなければならかったからだ。けだるい空白の時間の穴に落ちていく。それは思ったよりもずっと重く、しかし何故か美しい読み心地。彼が塔の先端を撫でるとき、心のどこかで哀しさと愛しさが交差する。要所要所私には理解が難しい表現も。もっと感受性が私にあれば…と歯痒い思いだった。2015/03/22

rinakko

1
物憂い読み心地。そして内容もかったるいのだが、ここにうずくまる悲哀の色を、どうしてどうして嫌いになれようか…。甘い腐臭に惹かれ淫売街へやってきたシジスモンは、そこで妻の死の知らせを受けとる。その時から、死に直面することを拒んだ彼は、全てを保留にし“透明な泡”に閉じこもる。淫蕩な街の通りから通りへ、“泡”は転がっていく。そして彼は、何も変わっていないように振る舞い、死を引き連れてさ迷う。絶望に抗うシジスモンの孤独と、バルセロナの青空の下でかき消されてはあらわれる古い夢の空間の、哀しい美しさが忘れがたい。2011/09/10

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