黄泥街

黄泥街

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  • サイズ B6判/ページ数 253p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784309201979
  • NDC分類 923.7
  • Cコード C0097

内容説明

ことばが世界を狂わせ崩壊させる。黄泥街に起こった目眩めく奇怪な物語。中国の天才女性作家驚愕の処女作登場。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

125
混沌とした都市のインフォーマル地区。汚泥や灰にまみれていたかつてのその街を思う時、胸をよぎるのはノスタルジックな郷愁。荒々しく不潔な人々のすむその界隈は、なぜ瓦解していったのか。本当の太陽でないものは腐敗を生じさせ、誰かの噂は口移しをしていくうちに混乱や死を生む。この作品を書き上げるまでの作者の壮絶な半世を知らずとも、作品全体を流れる暗さは圧倒的。2019/01/08

syaori

52
作者は父親が右派として追放されたため、文革後の名誉回復まで大変な経験をしたようですが、その時代や文革中の混乱と狂騒が本書に昇華されているように思います。黒い雨が降り、糞便が溢れ蛆や蝿が湧く黄泥街を舞台に描かれる日々は賑やかな悪夢のよう。皆何が起きているのか分からないまま噂や憶測に振り回され、街の問題を処理するという委員会も、その実態を誰も知らないという有様。破壊分子とは誰なのか、解決せねばならぬ問題とは何なのか? その過ぎ去った「大馬鹿騒ぎ」への郷愁と詠嘆が心に残りました。「造反勢力は権力を握ったかな?」2018/11/16

志ん魚

21
自分が本を読む愉しみの多くは、著者の頭の中を覗き、探検し、その驚異を体感することにある。となれば海外文学に傾倒していくのは自然な成り行で、もはや異形や不条理に対する免疫もかなりついているはず。だが時として手酷い返り討ちにあうことがあり、残雪はその筆頭である。とにかくもう、どうしようもない。ただひたすらそこに存在し、ループしながら成長を続ける不安と不穏の巨大な塊。その表面はおそろしく分厚い糞で塗り固められており、ネタにするとっかかりすら与えてくれない。残雪だけはほんとうに、どうしたらいいのかわからない。2012/06/22

三柴ゆよし

18
五年ぶりの再読。<糞☆小☆説>というジャンル区分が仮にあるとして、その名に斯くもふさわしい作品は、文学の闇いかに深くとも『ガルガンチュワ』と本書をおいて絶無であろう。とはいえ『ガルガンチュワ』にあらわれた糞を、往年の少年マンガに散見される、目鼻すら備えたような牧歌的巻きグソに例えるなら、本書『黄泥街』の糞とは、いわゆるところのビチグソである。木の枝で突き刺して持ち運ぶなど到底不可能、もはや固形物としての矜持すら放棄したとあれば、その本質は流動であり混沌、もっと言えばAB間を劃定する秩序の崩壊である。(続)2016/03/06

YO)))

17
不穏な序章に誘われて迷い混んだのは、スカトロジーとデマゴーグの街、黄泥街。徹底して噛み合わない会話を交わしながら、誰も街を出ていこうとしないのが何より不気味だ。幻想小説と呼んで差し支えないのだろうが、現実さんサイドにも相当のことがないと書き得ない小説であることもまた犇々と伝わってくる。2014/02/15

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