内容説明
コントル=アタックからアセファル、そして社会学研究会へ―。カイヨワ、クロソウスキー、ラカンらを巻き込んだ知られざる秘密結社の実体とは?ファシズム、アウシュヴィッツ、ヒロシマ、実存主義を射程とした主要思想を中心に、死に至るまで遂行された、バタイユの〈思考〉の反逆を鮮烈に描く。ゴンクール伝記部門賞受賞。
目次
コントル=アタックから『アセファル』へ
頭部なき共同体
「花飾りのコリーダ」
好運
「私自身が戦争だ」
「未来については知らないのが好きだ」
「狂暴で腐臭にみちた可能事」
ファシズムの最後の砦
バタイユ的「政治性」
ヴェズレーからカルパントラへ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
igi_tur@Le livre
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父とのエピソードなどをおさめた前半については結構知っていてもこのあたりの時代のバタイユについては知らないことが多い。「青空」についての下りなどは伝記の地の文とバタイユのテクストが渾然一体と成り、まるで共作のようだ。2009/10/14
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最終的に彼の父親のように思考の崩壊=肉体の消滅の合一に向かってゆくのは迫力がある。吉本隆明の「非-知」にボケとルビが振られて苦笑を誘ったが、バタイユの場合は思考を可能にするものが同時に思考を不可能にするものであるその地点に自覚的に向けられているのが、この人の凄みか。ただ、こういう風に考えると極限の思考を考えた人としては、吉本の場合が良くも悪くも体系を思考し得たのに対して(要するに理性的に対処した)、バタイユの場合は終始ぶっ飛び過ぎているとも思う。ほとんど狂気紙一重。2024/03/10