カッコウが鳴くあの一瞬

カッコウが鳴くあの一瞬

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  • サイズ B6判/ページ数 170p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784309201641
  • NDC分類 923.7
  • Cコード C0097

内容説明

死と空虚の影を超えて激しい生命へ到ろうとする、若き中国の俊才の「世界」そのものの物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三柴ゆよし

14
処女作「黄泥街」と登場人物、舞台設定の一部が重なる「刺繍靴および袁四ばあさんの煩悩」が収録されている。これはもう残雪版「ババアゾーン」(by 漫☆画太郎)というべき婆小説の傑作で、不眠に悩まされる語り手「わたし」が、鶴嘴で壁をぶち壊して登場する怪奇婆に家を乗っ取られ、彼女の人生と刺繍靴にまつわる数奇な物語(実際は心底どうでもいい狂人のたわごとである)を夜通し聞かされる。ふつう小説というか物語は、文章が先に進むごとになにかに近づいていくものだが、残雪の場合は、目の前が茫漠と広がっていくような感覚をおぼえる。2016/03/07

すけきよ

4
山水画のような景色とおぼろげな物語。しかし、その基礎部分にあるのは超ド田舎。莫言の作品もそうなんだけど、グロテスクというか、近寄るのも躊躇うほど、もう汚らしい。もやしっ子でゴメンね。意図してるんだろうけど、登場人物も頭のいい悪いではなく、意思疎通が出来ないレベル。それによって引き起こされる行動、反復。そこから醸しだされるのが、物語そのものは異様なんだけど、マジックリアリズムとはまた質感の異なったリアリズム。お気に入りは、「阿梅、ある太陽の日の愁い」「霧」「刺繍靴および袁四ばあさんの煩悩」「毒蛇を飼う者」。2010/12/11

コウ

4
画像がないのが残念ですね。白地に群青の空、そして何より真っ赤な傘が印象的な素敵な表紙の本です。もちろん中味はもっともっと印象的ですよ。トラウマになりそうなくらいに(笑)。この素晴らしいタイトルでも分かるでしょ? 只者でないってこと。★★★★☆2008/06/23

funa1g

3
通常の小説におけるストーリーや文脈的なものは存在しない。あるかもしれないが、ひどく希薄。夢のように唐突で印象的。次に何が来るかわからないという期待感で文章を読み進める希有な体験。2008/12/06

Cell 44

2
「あなたこそ彼で、わたしはあの女。河原にいて、灯台にいて、船のへさきにいた、そして真昼の烈日の砂州にいて、黄昏の金木犀の林の中にいた……。南国の暖かなこぬか雨の中で、紅薔薇のつぼみは今にもほころびようとし、真っ白な人影がひとつ、煙る霧雨の中にたたずんでいる」(『天国の対話』)後半の作品は文章の不快指数自体は低いと感じた。『毒蛇を飼う者』など、我々の常識を明らかに逸している人物が一人しかいない(無論この人物の周りへの影響は考慮すべきだが)。表題作と『天国の対話』が好み。2014/07/14

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