内容説明
倒錯の性に妖しく彩られた目くるめく世界。オナニスト的夢想家ジュネが緊張感あふれる壮麗な言語を駆使した暗黒文学の極北!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
88
妖しい暗黒の美で満たされている作品でした。ヒットラー総統とナチスへの賛美から日本軍の精神を讃える流れは、男性の美を謳っているように思えます。しかし、そこから敗戦という出来事を排除してまで描かれるエロティシズムの世界があり、男娼のオルガニズムへと昇華されているのが、低俗であり高尚である風景を映し出しているように感じます。同性愛の営みと、政治状況が絡み合う世界は完全にモラルにおける背徳でした。醜さに彩られた華麗さに満ちているんですね。2017/10/07
mejiro
2
「花のノートルダム」より読むのが難しい。場面や主語が唐突に変わり、誰の何の話かわからなくなるが、詩に近いというかそのまま素直に読めばいいのかもしれない。ヒトラーがこんな形で出てくるとは…。タブーを嘲笑うかのように型破りなところが著者の作品の魅力なんだろうと思う。2014/05/08