内容説明
“狂王”とよばれ、湖水に謎の死をとげたバイエルン(南ドイツ)王の夢とはいったい何だったのか。ワーグナーとの宿命的な愛、国の財政を傾けてまでつくった幻想的な宮殿と城。その孤独な魂を追って描く、虚像と実像。
目次
みずうみの十字架、あるいは詩と…
真実と…、やがて伝説
リンダーホーフへの、礼儀正しい小旅行
ヘレンキームゼー、そっと歩いてくれたまえ
愛する人!ワーグナーとの世界
戦争はきらいだ
夢の収支
美しくも哀しいノイシュヴァーンシュタイン城のお話
狂気と診断する学問の「正気」
あとにくる人たち、ヒトラーと
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぬーん
1
伝記で旅行記でエッセイといった感じの本。わりとルートヴィヒ二世を擁護する立場(パラノイアじゃないとか、築城浪費・政務放棄は退位させるに足る理由じゃないとか)で書かれてると思います(Wikipediaには経済的に恐慌が起きてたとあるのだが、実際その辺はどうだったのだろう)。まぁそれでもルートヴィヒ二世に審美眼というか芸術的な素養がなかったことは認めてる。そしてやはりルートヴィヒ二世と対比してヒトラーを辛辣に語ってる。2013/11/21
Hidetaka Ohtsubo
0
王たる王に道理などない。「狂気」という、俗物が与えた冠の、何と彼らの稟性に似合わぬものか!善悪の彼岸を軽々と越えて行くからこそ、王なのだ。然るに王は、この世に消し難いモニュメントを残し、我ら大衆の社会はこの世に生きた証を何をも残せぬまま、消えて行く他ない。2018/05/01