内容説明
西の「あまカラ」東の「銀座百点」、と並び称された、伝説の食通雑誌「あまカラ」より。東西の食いしん坊自慢による、舌鼓垂涎のベストエッセイ三十一皿。究極の、美味いものエッセイ集!
目次
鯡と鱈(長田幹彦)
味覚の東と西と(小林一三)
薬と毒(魚返善雄)
「すむつかり」贅言(谷崎潤一郎)
料理と文化(石川欣一)
愛すべき悪魔(筈見恒夫)
凡人の酒(吉野秀雄)
たべ物と風情(長谷川春子)
玉子焼の話(宇野浩二)
偽むらさき(花柳章太郎)
鮨のはなし(佐藤春夫)
胃弱者のたべもの観(正宗白鳥)
甘い野辺(浜本浩)
西洋の浜焼(中谷宇吉郎)
小唄料理(佐佐木信綱)
あまカラ還暦(新村出)
味覚診断(式場隆三郎)
関西のうどん(壺井栄)
食魔の国(野村胡堂)
庶民の食物(小泉信三)
腹のへった話(梅崎春生)
キントン焼き魚(長谷川伸)
五平餅(河竹繁俊)
猫料理(村松梢風)
むすび(富田常雄)
漬物 肉 果物(安倍能成)
春菊の香りと味 外国での日本の味など(笠信太郎)
オフ・ア・ラ・コック・ファンタスティーク 空想半熟卵(森於菟)
筋の通ったはなし(名取洋之助)
魚へんの旅(岸本水府)
京阪と和菓子(窪田空穂)
著者等紹介
谷崎潤一郎[タニザキジュンイチロウ]
1886‐1965。小説家。代表作に『細雪』など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ようはん
18
大体1880、90年代生まれ〜1960年代没ぐらいの文化人の食エッセイ集。1番最初の北海道の漁場における数の子のごった煮からのニシンのタレ焼と冷飯を併せて食べる、さらに鱈を刺身で捌いてからし醤油で食べるというのが良い。2024/08/24
tetsubun1000mg
14
戦後の、伝説のうまいもの雑誌「あまカラ」の掲載から選んだ食エッセイ集。1950年代の掲載なので時代を反映しているし文章を書いた人も一部の小説家を除いて知らない人が多かったのだが、多彩な内容で面白かった。 当時の小説家、実業家、歌人、学者などが食べ物も土地も状況も様々で文章も楽しめる。 当時はパリで食べるフランス料理より日本のレストランで食べる洋食のほうが断然おいしいという感覚の人が多かったようだ。 中でもアルゼンチンの豪快な浜焼き料理「クラントウ」。田舎でお菓子など無かったので食べた木の実の話も良かった。2023/12/07
hitotak
8
昭和30年代に書かれた、食に関する雑誌に書かれた各方面の知識人・作家・芸術家たちのエッセイを再編集した一冊。書かれた時代は戦後の食糧難からは脱しているが、飽食とまでは行かず、食べ物の薀蓄を語るのは粋な通人と裕福な人々くらいだったのでは?まだ食べ物に地域性があった頃だから、地方の見知らぬ食べ物や名物が旨いという内容には食欲を刺激されただろう。岩内の荒っぽい鰊漁場で食べた数の子と白子のごった煮、戦前の中国大陸で味わった羊肉、カストリ酒など、今では味わうことのできなそうな食べ物について書かれたものが面白かった。2024/03/03
きゅー
5
1950年代に書かれた作家等著名人による食べもの談義。話題が戦前戦後の一時期に限られていることもあり、いま一つピンと来ない話が多かった。河出書房新社といえば「おいしい文藝」シリーズが有名。その企画・編集をしているのはgo passionという編集プロダクション。PARCO出版の「アンソロジー お弁当」などのシリーズも担当している。本書の体裁がそれらに似ているけど、クレジットに記載されていないので関係ないのかな。二匹目のドジョウ的な一冊かなとも思ったけれど、実際どうだか。2024/04/02
relaxopenenjoy
3
あまカラという雑誌があったそうな(今のdancyuみたいなもの(?)で、名だたる文筆家や著名人の食に関する文が掲載されていた)のアンソロジー。キャッチーなタイトルと谷崎潤一郎に釣られて読了。肩透かしを食らった印象で、他の食アンソロジーと比べて、古い時代の筆者が多いためか、むしろ少しお堅く感じた。メモ 長谷川春子が姉(時雨)と三上於菟吉と行った北京。すむつかり(大豆を炒って酒粕と混ぜ酢醤油で味つけたもの?)。イカモノ食い(現代で言うところのゲテモノ食いに近い?) 2024/08/03