出版社内容情報
1955年の芥川賞受賞直後の頃に発表された、単行本未収録の貴重な作品を収録。幻の短篇14作。瑞々しい筆致で描く若き日の秀作!
内容説明
『海と毒薬』『沈黙』につながる秘められた幻の短篇、初の単行本化!瑞々しい筆致で描かれた、若き日の秀作。
著者等紹介
遠藤周作[エンドウシュウサク]
1923年、東京生まれ。幼年期を旧満州大連で過ごす。神戸に帰国後、十二歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒業。50年から53年までフランスに留学。一貫して日本の精神風土とキリスト教の問題を追究する一方、ユーモア小説や歴史小説、戯曲、「狐狸庵もの」と称される軽妙洒脱なエッセイなど、多岐にわたる旺盛な執筆活動を続けた。55年「白い人」で芥川賞、58年『海と毒薬』で新潮社文学賞、毎日出版文化賞、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞、79年『キリストの誕生』で読売文学賞、80年『侍』で野間文芸賞、94年『深い河』で毎日芸術賞、95年文化勲章受章。96年、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うののささら
91
遠藤周作の若い頃の作品か。随分昔だなと思って読んだが全然古さを感じない。この引き込まれていく文章のうまさはなんだろう。知らない誰かの話でもどこか見覚えがあるように思えるうまさ。三浦綾子とならびクリスチャン小説は青春の書。キリスト、人間愛、倫理観を掲げ嘆いたり悲しんでもどうにもならない人生のことや理屈では説明できない衝動などえがく作品につながる短編集か。ひさびさでしたがどれもよかったです。2021/11/24
Ayakankoku
9
遠藤周作の初期作品。初期からさすが遠藤周作という筆致ぶり。2023/10/14
グラスホッパー
9
ほぼリアルタイムで読んだ遠藤周作の初期の短編集。その後の作品に繋がるエッセンスが詰まっている。タイトルになっている『秋のカテドラル』は、普遍的な内容で読後が清々しい。2021/11/26
ぷるぷる
8
女性誌や文芸誌に掲載された作品を14も集めた短編集。読んだことない話ばかりで嬉しい。どうも尻切れトンボ的な印象の話が多いのは致し方ない。前半恋愛モノが多くて、後半はリヨンへの留学経験を元にした話が多くなる。しばらく読み勧めると流石の文章力で格調高く見せかけているだけで実はどの作品もギャグなのではないかと言う気がしてきました。どれも「はっ?」って感じがするんですよね。誘拐犯だと思い込んで結末不明な「赤い帽子」と儚い雰囲気の表題作が好きです。それと最後の「ネコのリンゴの木」のユーモアがたまらないです。2022/04/19
朔ちゃん
8
遠藤周作は、いくつの顔を持っていたんだろう。楽しい狐狸庵先生と思ったら、フランス留学で過ごした決して明るくない青春時代、恋をして…女性に抱く鬱屈した想い。など、各短編を読むたびに、別の新たな一面が見えて刺激を受ける。どの作品にも感じる、ある種の「諦観」がたまらなく心に刺さる。自分のことのようで、かえって励まされるような気がする。もっともっと読みたい。2022/01/04