出版社内容情報
各紙誌で大絶賛の『永遠の道は曲りくねる』から4年。人類誕生から現在、そして未来の「生命」を照射する「宮内文学」飛躍の作品集。
内容説明
耳を澄ますと聞こえてくる、二千億の魂の叫び。見つけて、わたしを見つけて!閉塞した「世界」に木霊する、宮内文学の新たな挑戦。著者4年ぶりの小説刊行。
著者等紹介
宮内勝典[ミヤウチカツスケ]
1944年ハルビン生まれ。鹿児島の高校を卒業後、渡米。アメリカで通算13年暮らす。世界60数カ国を歩く。早稲田大学客員教授、大阪芸術大学教授などを歴任。著書に『南風』(文藝賞)『金色の象』(野間文芸新人賞)『焼身』(読売文学賞、芸術選奨)『魔王の愛』(伊藤整文学賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rosetta
25
小説なのかエッセイなのか、26の短文。三つ四つのまとまりで短編小説の様にも読めるけど。アインシュタインの脳、チェ・ゲバラ、類人猿の知性、中国残留孤児など、一見取り留めのないテーマの文章が散在している。それでも全体的に統一感があるのは不思議とリアルな幻想感のある文体か、作者の思考の一体感か。まるで現実と見分けのつかない夢を見ているような読書体験。自分が地球の歴史の中でひとつのパーツなのだとしみじみ心得させられる。手元に置いて時々少しづつ読み返したくなるような本。2022/01/14
Book Lover Mr.Garakuta
10
【速読】【図書館】:ぽろぽろと読み進めたが、学者先生向けの本と思った。2/5。2022/03/21
ハルト
10
読了:◎ マジックリアリズム的幻視。類人猿、原始人、カニバリズム、恐竜、宇宙、戦争、革命、テロ、他。罪の果実を齧ったかのように、人の業と罪が語られていく。連作短編集のような形態ではあるけれど、短編一つ一つが、表紙のアンリ・ルソーの熱帯雨林の絵によって想起される、どこか人類の原始的な夢幻の中に存在しているように思えた。人が無意識下で見る夢のような読後感だった。2021/12/22
都人
3
300p程の本に30個足らずの散文、統一したテーマは無し。それこそ最初の人類ルーシーから白鳥座のブラックホールまで。面白かったのは交尾の姿勢、人類以外の動物は後背位、人間のみ向かい合う。 2022/04/24
林克也
2
いのちの終わりを見据えての宮内さんの“思考と感情の履歴”つまりクロニクルなんだろうな。 色々感じるものはあったが、一つ、このなかで特に刺さったのは、あの、チャレンジャー号の爆発。あの朝、まだ今よりずっとずっとずっとずっとまともだったNHKのニュースで見た映像を思い出した。もちろんその頃の諸々のことを含めて。2022/01/08