出版社内容情報
久世光彦に関わった「女」たちを想うエッセイ24篇。常に女に翻弄されながらも女を求め続けた久世による純粋無垢な女性賛歌。
内容説明
怖い女、痩せた女、姉と妹、幼馴染、無口な女、写真の女、死んだ女、年上の女…気がつけばいつも傍らに女たちがいた。久世光彦の創作の原点ともいえる女にまつわるエッセイ集。全24篇。
目次
夾竹桃の花咲けば
陽炎小路はどこにある―虹児・華宵・夢二
麗子像の怪
山茱萸の秋
鉄路のほとり―久坂葉子
写真の女
消えた狂女たち―保名狂乱
口笛
草の子供
姉は血を吐く、妹は火吐く
カタリ
女の死体
露地の女。
駅の別れ
ある余韻
猫坂
煮疑
女の名前に夢を見る
都々逸な女たち
「化粧」
おでん
独楽ふたつ―向田邦子の恋と死
後悔
病気の時間
著者等紹介
久世光彦[クゼテルヒコ]
1935年、東京生まれ。演出家、テレビプロデューサー、小説家、作詞家。「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」「ムー」など伝説的なテレビドラマを手掛ける。『蝶とヒットラー』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、『聖なる春』で芸術選奨文部大臣賞、『蕭々館日録』で泉鏡花文学賞受賞。2006年、虚血性心不全のため死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しゃが
55
好みだった。短篇を読んでいるような感覚になった。演出家、小説家であったあの久世光彦さんが幼い頃から壮年の時代に関わった「女」たちの記憶をたどるエッセイ集。場所や環境、そして何より性別は異なるが、同時代を生きた感があった。まさに昭和という時代の緩くもあり、刹那さがあり、自堕落な物語があった。向田さんは家族に、久世さんは男女への眼差しに同じ匂いを感じる。凛として繊細でありながら、内なる思いには人の複雑さを合い持っていた。印象に残ったのは「露地の女。」「煮凝」「病気の時間」。久世さんの文学などへの博識も愉し。2021/05/21
Toshiyuki Marumo
3
先日、本屋でこちらをじっと見つめる女と眼があった。 久世光彦のエッセイ集『「女」のはなし』の帯の上村一夫の装画だった。 よく見るとどこか虚ろな表情の女の右目からは血の涙が流れその瞳は赤い薔薇になっている。 この少し怖くて美しい装画は久世光彦の描く世界そのもののようだと私は思った。 2021/04/30
エリザベス
2
今まで自分かかかわった女の自慢話、にならないところが久世さんの久世さんたるところ。「女の死体」は、そういうことがあの頃にはたくさんあっただろうと思う。さして想像力を持たない私だけれど、久世さんの文章を読むと、一つ一つの情景が目に浮かぶ。2021/11/07
海戸 波斗
1
さすが、希代のテレビマン。読ませるわ。樹木希林との確執、不倫してた人の印象だけど…かんけーねーってやつね。これを、娯楽というんだな。ありがとう小説読めちゃった。2021/05/10