出版社内容情報
咲太は幼馴染のタッキーが心配だ。彼は転校生ユウキとお笑いコンビ<馬場リッチバルコニー>を組み、27歳の今も活動中だが――。
内容説明
お笑いコンビを組んだタッキーとユウキ、芸人にならなかった俺。おれらであることが楽しくて苦しい、3人組の10年間。時代の最先端を走る芸人青春小説の金字塔。
著者等紹介
大前粟生[オオマエアオ]
1992年兵庫県生まれ。2016年、「彼女をバスタブにいれて燃やす」が「GRANTA JAPAN with 早稲田文学」公募プロジェクト最優秀作に選出され小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きむこ
76
アメトークで紹介されていた本。まだ売れていないお笑いコンビを中心に展開する話で、ホンマに若い芸人さんはこんなふうに戦ってるんやろうなって思いながら読んだ。売れたい、笑いをとりたい、コロナで仕事が無くなった喪失感、リモート漫才の不安、相方だけが売れる焦り。苦悩や葛藤がダイレクトに伝わる。外見をイジる笑いに対する話はこれからホンマ考えなあかん問題。全体的に空白の多い本でサクッと読めんねんけど、誰が話ししてるのか分かりづらいのがちょっと残念。★32022/01/08
ネギっ子gen
62
【滝場は死にたさを、ネタの中だから云うことができたんだ。つらさを言葉にすることで涙を流して、カラッポじゃなくなっていってたんだ】落ちが最高。タイトル名も絶妙。テーマは、笑いと差別かな。日本のお笑いにおいては、男性優位の側面や誰かを蔑むことで笑いを取ることがある。それらのことを、若い男性である語り手が違和感を持つところに共感。強く推す!<お笑いが俺を救ってくれていた。笑いはストレスを発散してくれた。それと同時に笑いが嫌だった。見た目や性別をいじられることで傷つくひとがいるんだと想像して俺は傷ついていた>。⇒2023/04/01
❁かな❁
52
めっちゃいい!アメトークの読書芸人でAマッソの加納さんが紹介。第38回織田作之助賞候補作。幼馴染みの咲太と滝場。高校で転校してきたユウキ。お笑いコンビを組み芸人になった滝場とユウキと芸人にならなかった咲太の物語。芸人さんの気持ちやテレビを見てる側の気持ちを上手く表現されていた。作中に漫才のネタがきっちり書かれていてびっくり!兵庫出身で京都在住だからリアルな関西弁でテンポ良くて面白い!ヒリヒリし苦しい場面もあったけど後半の展開が良い!重た犬なんか可愛くて欲しくなってきた♡大前さんの優しさ、センスが大好き♫2022/03/16
papapapapal
48
お笑い芸人を目指す幼馴染ふたりに転校生を加えた、3人の物語。文化祭で初漫才を経験する高校生時代は青臭さが目立つ。それから10年後を描いた後半部分は、コロナ禍の芸人のリアルや、時代と共に変化する「お笑い」の常識、古い笑いに違和感や嫌悪感を覚えることに対しての考え方など、芯が通っていて読み応え有り。おもろい以外いらんかった芸人たちの成長記。2022/12/04
十川×三(とがわばつぞう)
36
面白い。漫才が丸々書かれている珍しい小説。ラストも好き。▼面白さが時代と共に変わる。ネット社会になり視聴者個人の反応がダイレクトに発信できる。以前は許されていた発言もアウトに。そんな時代に翻弄されながら,3人によるお笑い論のぶつけ合いが熱い。コロナ禍で仕事減だった芸人達は、自分と自分の芸に改めて向き合った人も多いだろう。2023/11/15