出版社内容情報
川、海、釣り堀で。釣りを愉しむ作家たちの傑作アンソロジー。釣りするときの心、ともに釣る人たちとの会話、釣った魚で飲む酒……。
内容説明
つれなくても、つれても、やめられない24人の「釣り」アンソロジー。
目次
春の渓流(辻まこと)
噺百遍(桂歌丸)
二重の呪文(矢口高雄)
ザリガニ釣り(沢野ひとし)
春饌譜(佐藤垢石)
オクラとアユ釣り(福田蘭童)
ワサビ盗人(井伏鱒二)
釣魚談一則(幸田露伴)
鱸(幸田文)
釣人物語より(林房雄)
黒鯛釣り(團伊玖磨)
釣魚迷の「人民公社反対論」(西園寺公一)
アラスカの鮭釣り(大庭みな子)
セーヌ川の雑魚にナメられ、手も足もだせなかったこと(開高健)
釣りの経験(獅子文六)
釣り師の心境(坂口安吾)
不具の蟹(森下雨村)
食用蛙(北杜夫)
ゲテ魚好き(火野葦平)
脇役たち(抄)(長辻象平)
釣友今昔(三代目三遊亭金馬)
魚釣り(今西錦司)
一本づり(宮本常一)
日高基裕『釣する心』序(永井荷風)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あじ
28
お馴染みの【おいしい文藝】シリーズに【アウトドアと文藝】シリーズが新たに加わりました。印象的だったのは森下雨村氏の随筆。釣り上げた不具の蟹に亡父を思い浮かべた氏の心情が、岸辺に打ち寄せる小波のようでした。 2020/05/29
yyrn
19
私は釣りをしないが、釣り好きだった父のために借りた本。又貸し前に読んだが、味わいのある文章が多くて面白かった。さすが選りすぐっただけのことはあるか。掲載作品:辻まこと「春の渓流」/桂歌丸「噺百遍」/矢口高雄「二重の呪文」/沢野ひとし「 ザリガニ釣り」/佐藤垢石「春饌譜」/福田蘭童「オクラとアユ釣り」/井伏鱒二「ワサビ盗人」/幸田露伴「釣魚談一則」/幸田文「鱸」/林房雄「釣人物語より」/團伊玖磨「黒鯛釣り」/西園寺公一「釣魚迷の『人民公社反対論』」/大庭みな子「アラスカの鮭釣り」/開高健「セーヌ川の⇒つづく2020/06/08
Jimmy
5
文人たちの釣りエッセイ集。自分の釣りの参考になることもあれば、釣りの風情を感じさせるものもあり、歴史を遡ったりもする。 とてもよい本に出会えたと感じている。 幸田露伴の釣魚談一則はミミズについての考察で、自分とおんなじようなことを文豪もしていたのだと思うと感慨深かった。その娘、文の文章も入っているのがにくいね。2021/05/01
Toshi
4
作家、著名人による釣りエッセーのアンソロジーである。書き手は、開高健や桂歌丸といった世間でも知られた釣りマニアから、意外な釣り好き、あるいは釣り嫌いを公言する人まで、十人十色楽しめる。釣りはまずエサからと、鮒釣りに適したミミズの取り方と育て方を熱く語る幸田露伴、そして長女、幸田文による父との鱸釣りの思い出。家で次回の釣行を妄想しながら読むのに最適な一冊。2020/09/01
静かな月を見てる
3
幸田文が父である露伴のことを書いた「鱸」がとても良かった。早逝した弟と露伴が鱸(すずき)釣りに行った話。いい文章を書くなぁ。素晴らしい随筆です。桂歌丸の「噺百遍」も良かった。こちらは頑固な釣り流儀の話。歌丸さんは身なりどおり、綺麗な釣りをする人だったんだなぁ。2022/05/18