出版社内容情報
死んだ人間を食べる新たな葬式を描く表題作のほか、著者自身がセレクトした脳そのものを揺さぶる12篇。文学史上、最も危険な短編集
内容説明
文学史上、最も危険な短編集。自身がセレクトした、脳そのものを揺さぶる12篇。
著者等紹介
村田沙耶香[ムラタサヤカ]
1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部卒業。2003年「授乳」で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞。2009年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、2013年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、2016年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
666
12の作品から成る短篇集。巻頭には表題作の「生命式」が置かれているが、いきなりアクセル全開。読者は度肝を抜かれることになる。ファンタジーといえばそうなのだが、およそファンタジーの持つ「かそけき」世界はどこにもない。きわめて日常的な光景の中に、いとも自然に半ばシュールレアリスティックに異世界が交錯するのである。幾分かは薄まっているが(それとも慣れたか)次の「素敵な素材」も結構なもの。ここまで来ればもう怖いものは何もない。「素晴らしい食卓」以下は村田沙耶香の時間に身を任せるのである。2023/03/29
ろくせい@やまもとかねよし
625
タイトル編も含め12の短編が収録。通底する主題は、生物である人間と理性的に社会集団化する人間の境界だろうか。それぞれの物語は、生物的に欲する「性」「睡眠」「食」「排泄」に加え、生態的な「大気」「日光」そして物質の「循環」など、人間の理性で抗うことができない現象を用い、人間の両極な社会性と生物性の境界を探していく。手がかりは人間が理性では制御できない本性。ただ、村田さんが描く物語の前提や背景は、極度な非日常。しかし、そんな非日常を非現実と感じさせない筆力は見事。村田さんが見ている景色を私も共有してみたい。2019/10/30
starbro
608
村田 沙耶香は、新作中心に読んでいる作家です。著者が自らセレクトしただけあり、生理的に嫌悪感を抱く衝撃的な短編集でした。どの作品も甲乙つけ難いですが、特にオススメは、表題作『生命式』&『素晴らしい食卓』&『孵化』です。今年のBEST10候補です。村田 沙耶香、恐るべし!2019/11/07
absinthe
557
沙耶香様が書く、ぶっとんだ短編集。命は周辺の命と手を取り合って生きている。生命の定義はいまだに難しい。沙耶香様が地面に手を触れると、そこに生えているものを私達が食べてるんだなぁと感じ、ビルを見上げれば自分たちはその内臓なんだと感じてしまう。そういう感性の作家がペンを走らせるとこうなるのだ。人間の体を食べる。体の一部を道具にする。これらを禁忌とする当たり前だった意識も作品を読む間にどこかに溶けていった。2020/01/18
kou
506
数ページ読んだだけで、頭がクラクラする感覚がして、一気に世界観に引き込まれた。相変わらず凄い世界観だと思う(汗)。そして、妙な説得力があり、自身の常識がおかしいのでは?と不安になってしまう・・・まぁ、それもやみつきになってきたが(笑)。ホントに一度で良いから、作者の世界の見え方を隣から覗いてみたい!!2019/12/15