モダニズム・ミステリの時代―探偵小説が新感覚だった頃

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  • サイズ 46判/ページ数 301p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309028095
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0095

出版社内容情報

1920年代に勃興・隆盛するモダニズム文学と探偵小説。怪奇、犯罪、科学といったテーマを軸に、相互に影響しあう熱い磁場を活写。

内容説明

怪奇、幻想、科学、犯罪、心理…より新しいものへ、より未知なるものへ!100年前の1920年、「新青年」創刊。そして「文藝時代」「文學時代」へ―探偵小説と新干覚派らのモダニズムとが相互乗り入れする文学シーンはこんなにも可能性に満ちていた―!戦間期日本の想像力を問い直す、もうひとつの文学史。

目次

ミステリとモダニズム
第1部 幻想探偵の作法(光学トリックの迷宮、異界への郷愁;乱歩と宇野浩二式幻想空間;幻想空間浅草と魔術・犯罪・ファンタジー;堀辰雄 遊戯としての犯罪)
第2部 人造人間幻想―人間改良と機械的存在(人体改造と犯罪学・優生学;電気人形、ロボット、アンドロイド;ロボットの恋と犯罪)
第3部 モダニズム文芸誌の探偵小説指向(私の目は薔薇だ―怪奇幻想からミステリ、科学的知覚へ;「文藝時代」の科学主義―横光利一の神秘科学、新感覚派の怪奇幻想;尖端・探偵雑誌としての「文學時代」;川端康成の科学・事件・探偵小説;犯罪心理から心理そのものの異常性へ)

著者等紹介

長山靖生[ナガヤマヤスオ]
1962年、茨城県生まれ。歯学博士。評論家。歯科医の傍ら、近代日本の文化史・思想史から文芸評論や現代社会論まで、幅広く執筆。1987年、横田順彌らと古典SF研究会を創設し初代会長を務める(名誉会長・小松左京)。『偽史冒険世界』(筑摩書房)で大衆文学研究賞、『日本SF精神史』(河出書房新社)で日本SF大賞・星雲賞、『日本SF精神史“完全版”』(河出書房新社)で日本推理作家協会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Mark.jr

4
黎明期の日本の探偵小説・ミステリーがいかに同時期のモダニズム文学と呼応していたのかを解説した本になります。江戸川乱歩のような代表的ミステリー作家も、もちろん取り上げられていますが、どちらかというと川端康成や横光利一など、ミステリージャンルではない作家の方を積極的に俎上に載せていた印象です。なんにせよ、当時まだ発展途上だったミステリーならではの熱は十二分に伝わっています。2023/02/26

あんすこむたん

2
探偵小説を中心にモダニズム文学とその時代を丹念に追った内容。知識としても様々な部分が、繋がった感覚があり、作品の解説もレベルが高く感じられた。2020/03/08

rbyawa

1
j115、横光利一関係を読んでいると「純文学と大衆文学の融合」ということが語られていたがなるほど探偵小説(というか幻想小説)のテイストが都市生活の中に入り込んでいるのか、それをモダニズムと言われると確かにわかりやすいが、あまり探偵小説寄りだと評価が低くなるらしいというシビアな分析もあり、そうすると新感覚派って本気で強い後ろ楯があったんだなとも感じる。好き放題してんなぁ…SFみたいな作品も普通に文芸雑誌に載ってたんだなこれ。探偵作家の本を思い返すとなかなかの扱いの差かも。テキスト論としては無類に面白かった。2019/11/11

Lieu

0
科学と不思議(幻想・怪奇)が、十九世紀の安定した世界像を突き崩す魔術的なものとして同居していたのがモダニズムの特徴か。「ミステリ」も今では探偵小説を意味するけれども、元の意味はミュステリオン(人智の及ばぬ謎、神秘)であり、探偵小説が本格と変格に分かれてゆくのは、謎に対する態度の違いに過ぎない。この二重性でモダニズムと探偵小説は共鳴する。何となく世紀末ウィーンの「神経の神秘主義」を連想した。2023/09/09

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