出版社内容情報
壮絶な闘病生活の果てに、夫でラッパーECDが亡くなった。激変する暮らしの中で、今も家庭の中に生き続ける夫の姿とは……。
内容説明
石田さんに手紙を書こうと思った。手紙なら届くかもしれない、と。壮絶な闘病の果てに、夫でラッパーのECDが亡くなった。激変していく暮らしのなかで、残された家族に待ち受けていた未来とは―。
目次
春 二〇一八年二月~三月
初夏 二〇一八年四月~六月
秋 二〇一八年十月
冬 二〇一八年十一月
春へ 二〇一八年十二月~二〇一九年一月
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mincharos
42
植本さん最新作。石田さんが亡くなってからの1年間の日々。すぐに新しい彼氏が出来ていて、一緒に暮らしていることにまずびっくり。2人の娘たちは懐いてはいるけど、彼氏だとは思いたくない様子。「だってお母さんにはお父さんがいるでしょ?それって浮気でしょ」「でもお父さんはもう死んじゃったでしょ」な会話。前作であんなに石田さんに対する扱いがひどかった一子さんだけど、さすがに亡くなってしまうといいところばかり思い出すようで。人間ってそういうもんなんだろうな。もし次作が出たらまた私は読んでしまうんだろう。不思議な吸引力。2019/09/19
てんちゃん
30
旦那さんがなくなられた後の日々をつづる日記。相変わらず自分を飾ることなくさらけ出している。夫が亡くなられてから一年にも満たないが、彼氏さんができており、子供の授業参観にも一緒に行ってもらったり…。一子さんにとっては自然なことかもだけど、お子さんや世間にとっては理解しにくいこと。そういう『周りからどう思われるか』を熟慮出来ない辺りが彼女の欠点であると共に魅力。そういうまっさらな純粋さがあるから、周りは彼女を助けようと思うのだろうな。2020/04/12
アコ
26
シリーズ5冊め。がん闘病の夫・石田さんが亡くなったところからの日記。出だしから「○○さんが〜」の連呼なので、これが著者初読みだと意味不明すぎない?とまず思う。過去作を読んできても誰が誰だかのままだったし。まあ日記だからと言われればそれまでだけど。同居する彼氏の登場には、彼女らしいなと。(妙に達観した目線になってる笑)彼氏のみならず、たくさんの○○さんに助けられる2児との生活。著述だけではわからない魅力がある女性なんだろう。ただ、他人様に薦めるかと言われれば微妙。でも不思議と読んじゃうんだなあ。2019/12/14
れんこ
18
前作までよりは落ち着いた印象。家族の形はいろいろ。将来、成長したお子さんがどう思っていたのか知りたいが、とりあえず今は本人たちが良ければそれでよし。2021/05/20
チェアー
18
身近な人を見送って1年、自分は何を感じていただろう。時折思い出して悔やんだり腹が立ったりしていた。自分が嫌な人間だと認めたくなくて、考えるのをやめた。自分の形が少し歪んで、それが波紋となって広がっていくのを見つめる毎日だった。 きっと彼女も、毎日の忙しいなかに石田さんを見出し、見ないようにしたり、見つめたりして過ごしてきたのだろう。実直な文章に、私生活をのぞいているような気分になる。 2019/08/05