夢も見ずに眠った。

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  • サイズ B6判/ページ数 299p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309027715
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

夫を熊谷に残し、札幌へ単身赴任した沙和子。次第にすれ違い、二人は離別へと向かったのだが……新たな夫婦像を描く傑作長編。

絲山 秋子[イトヤマ アキコ]
著・文・その他

内容説明

夫の高之を熊谷に残し、札幌へ単身赴任を決めた沙和子。しかし、久々に一緒に過ごそうと落ち合った大津で、再会した夫は鬱の兆候を示していた。高之を心配し治療に専念するよう諭す沙和子だったが、別れて暮らすふたりは次第にすれ違っていき…。ともに歩いた岡山や琵琶湖、お台場や佃島の風景と、かつて高之が訪れた行田や盛岡、遠野の肌合い。そして物語は函館、青梅、横浜、奥出雲へ―土地の「物語」に導かれたふたりの人生を描く傑作長編。

著者等紹介

絲山秋子[イトヤマアキコ]
1966年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、住宅設備機器メーカーに入社し、2001年まで営業職として勤務する。2003年「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞、2004年「袋小路の男」で川端康成文学賞、2005年『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、2006年「沖で待つ」で芥川賞、2016年『薄情』で谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

218
一組の夫婦の物語。出会いから別れ、その後と・・夫婦の事は夫婦にしか分からないよね。相手の事をどれほど理解しているだろう。日々の移ろいの中で今、私は夫を想う。『情』という襷を繋ぎ合って一本の道の途上かな。ゴールはまだ見えない。今作は日本各地を旅したような、どこかへ出かけたくなるようなそんな感じ。かつて訪れた土地も今ならまた違って見えるかもしれない。違った見方があるかもしれない。それは夫婦の関係にも似ていたりする。タイトルはどんな意味だったのだろう・・2019/02/22

なゆ

159
夫婦のはなし…いや、高之と沙和子の12年。なんだろうな、読み終わってじわじわと広がるこの不思議な感情は。ラストの光景が心に焼き付いて。なんだろうな、この2人の間にあるものは。離れていても向き合っているような。「この人のこういうところが嫌だったのだ」という気持ちも飼い慣らして、夫婦は続くのだと思う。旅に出たり、前に訪れた場所だったりと、日本各地の地名がたくさん。地図を引っ張り出して、ふたりの軌跡を辿りながら読んだ。京都と大津の近さに私も驚く。離陸やネクトンの様には強烈ではないが、何度も思い出しそうな話。2019/02/28

とろとろ

155
前半、どうにもやりきれないほどにお互いが煮え切らずグダグダしているなあと思ったが、この人の作風みたいなものかなって。丹念な背景描写、仔細な各土地の歴史や地形、地名にまつわる詳しい書き込みと、とにかくゆっくりゆっくり流れるような時間感覚は、この登場人物2人の心象の変化みたいなものを表現しようとしたからなのかな。十数年という長い歳月を経て気持ちを精算し、ようやく2人は「夢も見ずに眠る」ことができたのかしら。タイトル末尾の「。」が全てを暗示している?。読後、例によって身分調査。芥川賞作家。他に気になる記述が…。2019/06/17

のぶ

149
一組の夫婦の姿を12年に渡り、優しく描いた作品だった。主人公は夫の高之と妻の沙和子。前半、沙和子は高之を熊谷に残し、札幌へ単身赴任を決めた。久々に再会した夫は鬱の兆候を示していた。その事を機会に二人に関係は微妙にすれ違っていく。それだけだと、深刻になりがちだが、テーマや主張を押し付けない文章で、この夫婦の姿の解釈は読み手に委ねられる。長い時間で全国各地を旅して、ロードノベルのような印象も受け観光気分も味わえる。読みやすく易しい文体なのだが、そこに含まれているものは深いのかもしれない。2019/02/26

mariya926

135
最近は夫婦のお話が好きです。どんな夫婦がいるのか知るのも楽しいからです。この夫婦は旅行に行ったと思ったら喧嘩してバラバラに観光をします。そこからちょっと??に…。しかも妻が北海道に単身赴任に行ってしまい、夫は妻の両親と暮らしていて…鬱病になってしまう。夫と妻の行動に過去の家族との関係があるのは分かりますが、両方とも共感しにくいタイプではあります。私たちも子どもが与えられるまでは夫婦生活が長かったですが、もう少しお互いに分かり合えていたというか、ちょっと想像していたストーリーとは違いました。2020/04/20

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