出版社内容情報
うまいもの好きで、食べものエッセイに定評のある向田邦子の食いしん坊エッセイ傑作選。思い出の料理、日々の味など著者の魅力満載。
向田 邦子[ムコウダ クニコ]
著・文・その他
内容説明
思い出の食卓、ウチの手料理、お気に入り、性分、日々の味、旅の愉しみの六章からなる二十九篇のエッセイと「寺内貫太郎一家」より小説一篇を収録。ちいさなこだわり、忘れられない味。幼い頃の食卓の情景から病気が治ったら食べたいもののリストまで、向田邦子の真骨頂。
目次
思い出の食卓
ウチの手料理
お気に入り
性分
日々の味
旅の愉しみ
小説寺内貫太郎一家より
著者等紹介
向田邦子[ムコウダクニコ]
1929年東京生まれ。実践女子専門学校国語科卒業。映画雑誌編集記者を経て放送作家となりラジオ・テレビで活躍。1980年初めての短篇小説「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」で第83回直木賞を受賞し作家生活に入る。1981年8月飛行機事故で急逝(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とん大西
138
誰と食べた、どこで食べた、何を食べた…。食に関するエッセイって、もう今さら感が強いのですが、向田さんが書いたのだったら読んで損はない…と思って先月からボチボチつまみ食いみたいに読んでました。やはりこの方の文章って良いなぁと思います。飾り気がないのにさりげなくキレイで、ぶっきらぼうのようでお洒落。好物の海苔巻きの端しっこ、しめしめと狙っていた矢先に父親に先をこされた幼時の思い出。「こんな他愛ない小さな恨みも懐かしさにつながる」-こんな書きぶりが何気にツボる。小粋な語り、昭和の食卓風景…心和みます。2019/04/07
ちゃちゃ
127
結婚式のスピーチで友人が取りあげたのは、私のお弁当にいつも入っていた卵焼き。実は私、大学時代も母お手製のお弁当をよく持参して友人たちと昼食を取っていた。ふっくらとした黄金色の母の味。下宿生活をしていた友人は、それがとても羨ましかったと話した。時を経て私が家族に作るお弁当にも、それは受け継がれた。以前夫に、最後の晩餐は何が食べたいかと尋ねたとき、夫はいみじくも言った「炊きたてのご飯と味噌汁と、卵焼き!」向田さんの絶品エッセイを読んでふと心に浮かんだ、ささやかながら満ち足りた私の食に関する思い出です。2019/02/20
おくちゃん🌸柳緑花紅
80
そうそう私も変り玉どこで色が変わるのか気になった!七色とんがらしで(涙)表題作、海苔の色が友達と違ってる。海苔にも暮しにも段があると知る(笑)板前志願の、はし洗いは絶対に美味しい😋。海苔弁、間違いなく美味しいし、それに肉の生姜煮♥️と塩焼き卵♥️豚鍋も良い。そして1度だけ友人宅で頂いた「吉野拾遺」お取り寄せしたい。「鶯宿梅」も気になる。「そうめんちゃんぷるう」私も麺がくっついて上手く作れなかったが、そうか!秘訣があったんだ🎵自分自身の幼い頃の食卓や大人に成ってからの食事を思い出しながらの涎物😋2023/06/24
みち
70
やっぱりこの人の文章は好きだな。わくわくするし、笑いどころも満載。食べ物も、読んでるだけで、美味しそうな映像が目に浮かんでくる。きっと、ちょこっとしたお酒のあてでも凄く美味しくて、おしゃれなお皿に盛って出てくるのだろうな。この中に出てくるお料理、作ってみようかなと思った。2021/10/15
とよぽん
52
極上の、エッセイである。さすが向田邦子さん、名人の文章を読むという楽しみを、久しぶりに味わった。生きることは食べることだと、改めて思う。お父さんや弟妹のエピソードにうるっとしたり、思わずニヤリとしたり。「さる名門の夫人の、『ポロ牛』」には、声を上げて笑った。ベルギー、ぜひ行ってみたい。それにしても、享年52歳。直木賞を取ってこれから、というときに惜しい作家を私たちは喪ってしまったものだ。中学校の教科書に載っている「字のない葉書」は今後もずっと残してほしい。2019/04/06