出版社内容情報
北海道から沖縄まで、辺境、路地裏の体験ルポ。やり手のおばちゃん、行きずりのおねえさん…ぎりぎりの生の声が聞こえる実話集。
上原 善広[ウエハラ ヨシヒロ]
著・文・その他
内容説明
行きずりの人々。辺境の路地で拾った、人の話したがらない不幸話と己の恥。
目次
八戸の女
怨念のニレ
八甲田の幽霊
酸ヶ湯滞在記
定宿
原発PR館
殺人のあった部屋
温泉芸者
売春島
新世界の女
神戸福原界隈
白系日本人
真栄原吉原界隈
やちむん
北国逃亡
著者等紹介
上原善広[ウエハラヨシヒロ]
1973年、大阪府生まれ、大阪体育大学卒業。2010年、『日本の路地を旅する』(文藝春秋)で第41回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2012年、「「最も危険な政治家」橋下徹研究 孤独なポピュリストの原点」(現・新潮45 eBooklet)で第18回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞受賞。『一投に賭ける 溝口和洋、最後の無頼派アスリート』(KADOKAWA)でミズノスポーツライター賞優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヲム
54
特別何も起こらないけど、どれも著者が赤裸々で余韻が残る話でした。2023/05/25
Toshi
26
日経、ビビる大木さんの書評に惹かれて。著者が、旧赤線地帯や、事故物件と言った、社会の「辺境」を旅する私的ルポルタージュ。「私的ルポルタージュ」と言うと沢木耕太郎を想起するが、「私的」と言う意味において、その左斜め上を行く公私混同ぶり。「侘しさ」とか「やりきれなさ」の果てに、ユーモアまで感じてしまう。これまで全くノーチェックの著者だが、「あとがき」からも色々ありそうで、他の作品も読んでみたくなった。2021/08/12
遊々亭おさる
25
ある時は八甲田山へ幽霊に会いに行き、またある時は原発がある町の安宿に泊まり、そこでしか生きられない人に会う。そして人生の裏道を歩く女達の情に触れる。観光では分からない日本の形に出会う旅。エッセイなのか私小説なのか、行きずりの女との逃避行を妄想しながらも流されきれぬまま旅を重ねる著者の自画像も赤裸々に語られる。金もないのに大阪に妻子を残しながら東京で女と同棲し、そこも逃げ出し札幌の女の家にしけこむ。絵に描いたようなダメ人間。されど高等遊民を見る憧れも。素泊まり4500円の宿で安酒をあおりながら読みたい一冊。2019/05/31
かば
20
表紙が素晴らしい2018/10/30
つちのこ
19
河出書房新社2018年8月初版。心神耗弱状態にあった頃に執筆したという小編をまとめているが、あてもなく旅したレポはどれもがだるくて読む側としてもどっと疲れてしまう。福原や売春島のW島、真栄原といった風俗街に突入し、安くない金を払って何もせずに女の子から話だけ聞くというのは、きれいごとすぎて胡散臭い。著者は巻末で「人の不幸を訊ねて回るような下衆な旅をした」と書ているが、単なる“風俗レポ”として読もうとする私はその上をいく下衆野郎なのかもしれない。2018/10/09