須賀敦子エッセンス〈2〉本、そして美しいもの

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 264p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309026787
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

決定版アンソロジー第二弾。本との喜びに満ちた出会いや好きな作家についてなど、作家・須賀敦子誕生の源泉をあかす作品を厳選。

須賀 敦子[スガ アツコ]
著・文・その他

湯川 豊[ユカワ ユタカ]
編集

内容説明

須賀敦子に出会う最良の入門書であり愛読者にとってはあらたな魅力発見のための決定版アンソロジー。おまえはすぐ本に読まれると、いつも母親に叱られていた少女時代。そのころの喜びに満ちた本との出会いを描く『遠い朝の本たち』からの4篇はじめ、心ときめかせた「美しいもの」や尊敬してやまない作家たちについてつづった作品など、須賀文学誕生の源泉を明かす17篇、およびサバの訳詩7篇収録。

目次

1 本(ベッドの中のベストセラー;まがり角の本;父の鴎外;ダフォディルがきんいろにはためいて…;さくらんぼと運河とブリアンツァ;皇帝のあとを追って;黒い廃墟;オリーヴ林のなかの家;ふるえる手)
2 美しいもの(リヴィアの夢―パンテオン;アラチェリの大階段;舗石を敷いた道;図書館の記憶;チェザレの家;舞台のうえのヴェネツィア;ヒヤシンスの記憶;トリエステの坂道)
3 サバの詩七篇(三本の道;われわれの時間;娘の肖像;よろい戸が閉まっていて―カンツォネッタ;町はずれ;ミラノ;薔薇についてのヴァリエーション)

著者等紹介

須賀敦子[スガアツコ]
1929年兵庫県生まれ。聖心女子大学卒業。1953年よりパリ、ローマに留学、その後ミラノに在住。71年帰国後、慶應義塾大学で文学博士号取得、上智大学比較文化学部教授を務める。91年、『ミラノ霧の風景』で講談社エッセイ賞、女流文学賞を受賞

湯川豊[ユカワユタカ]
1938年新潟県生まれ。64年慶應義塾大学文学部卒業、同年文藝春秋入社。「文學界」編集長、同社取締役を経て、東海大学教授、京都造形芸術大学教授を歴任。2010年『須賀敦子を読む』で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mizuki

35
湯川豊さんが編集したということで、須賀敦子さんの読者には好みは分かれるかもしれない(残念ながらわたしとは相性が良くなかった)。しかし、初読者にとっては、須賀敦子さんを知ることができ、ここから次の作品に手を伸ばしやすいようになっているかもしれませんね。わたしは須賀敦子さんの可愛らしさが伝わってくるお話が好みなので、少女時代の本との思い出が、もっと編成されていると嬉しかったです♡2018/12/07

ヘラジカ

32
1巻に引き続きその時々の記憶を鮮明で美しく細やかに再現する筆力には感嘆した。密接という以上に芸術作品が人生に溶け込んでいるのがよく分かる。自分にはこんな風に心と体に結びついた作品はあっただろうかと考えてしまった。問題は芸術への向き合い方なのだろう。生の一部になるような読書、そういうのが出来てこそ真の読書家なんだろうな。収録作品では「ふるえる手」と「舞台の上のヴェネツィア」が素晴らしかった。異文化と記憶の旅行を味わわせてくれる名エッセイ集。2018/07/18

禿童子

20
須賀敦子の本を初めて通読できた。いろんな本からピックアップした「エッセンス」らしく、珠玉の文章が詰まっている感じがする。ユルスナールやギンズブルグという女性作家の作品を翻訳する過程で、自分の文体を確立したらしい。イタリアの風土・人物を自らの血肉に化すかのような対象への接近。「憑依」というべきか、ときどき、夢と現実が入り混じるような表現が見られる。エッセイなのに小説のように読めるのが須賀文学の特徴かしら。2018/10/18

umico

8
私のなかに遠くの土地に出かけたいと憧れている漂泊好きの私と、家にこもって本を読んでいれば満足という自分が同居している。私も!です。この前まで読んでた細雪がちょうど須賀さんが産まれた数年後の話で、しかも須賀さんは幼少期を幸子と同じ芦屋ですごされているので、随筆文の背景にチラチラと蒔岡姉妹の姿が浮かんで面白かった。そして妹さんと共に描かれる幼少期の須賀さんが好きでした。2024/01/21

chang_ume

8
「空間」を語る言葉の密度がとにかく高い。たとえば、古代ローマ建築のパンテオンを語る文章。単なる由緒来歴や、無味乾燥な仕様説明ではない。建築の身体知を言葉にする。もっといえば、空間の直感を語る冗舌。パンテオン現地での感覚と非常に合致して、嬉しくなると同時に、この人の言葉を越えるためにいかにするか、やや頭を抱える。このように、自分の代弁者と出会う体験は稀有なものです。どう消化しようか。また巻末に置かれたウンベルト・サバの訳詞たちも大変すてき。とくに『町はずれ』。機会あればエピグラフで使ってみたい。2020/01/04

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/12818074
  • ご注意事項