出版社内容情報
私小説を書く父、精神に変調を来した母。生地・小高への思いを中心に、父と今は亡き家族に捧げる鎮魂譜。増補新版。
島尾 伸三[シマオ シンゾウ]
著・文・その他
内容説明
父の思い出をめぐる旅路の果てに…最高の“私小説”の、翳の記憶。傑作『死の棘』の作家である父と、そこに描かれた、今は亡き家族に捧げるレクイエム。
目次
第1章 父
第2章 妹
第3章 叔父 叔母
第4章 小岩から
第5章 小高へ
第6章 琉球旅行
第7章 骨
著者等紹介
島尾伸三[シマオシンゾウ]
1948年神戸生まれ、奄美大島育ち。写真家。両親は作家、島尾敏雄、島尾ミホ。1974年東京造形大学卒。1978年写真家・潮田登久子と結婚。夫妻共著による中国風俗のルポ多数。娘は漫画家・タレントのしまおまほ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rin
2
★★★2021/10/14
アカショウビン
1
「父 島尾敏雄への旅」 という副題があるから、何?と思って図書館で手に取った。「魚雷艇学生」の印象からなんとなく文学史上の昔の人にしていたが、その息子が語る世界は、私にも記憶のある風景と重なり、つげ義春を思い出した。上野駅、常磐線、「夜の森」という駅。「小高」という地名は知らなかったが、地図にはあった。すぐ南には浪江、双葉があり、福島第一原発がある。小高は島尾敏雄の父母の出身地であり、埴谷雄高は台湾生まれだが本籍は小高であり、埴谷島尾記念文学資料館というのもあると知った。琉球旅行あたりが特にいい感じ。2024/04/03
kogufuji
1
父に対しての親愛の気持ちとその反対の気持ちと混ざりあい葛藤している姿は苦しい。戦後すぐの東京から小高までへのさまざまな情景がとても印象的で、上野駅の様子はじっくりと思い浮かべながら読んだ。2021/04/05