戦前の怪談

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  • サイズ B6判/ページ数 280p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784309026589
  • NDC分類 147
  • Cコード C0095

出版社内容情報

怪談の巨匠の傑作怪談アンソロジー。「草藪の中」「白いシャツの群」「妖影」「黒風」「蟇の血」「黒い蝶」など全24話。

田中 貢太郎[タナカ コウタロウ]
著・文・その他

内容説明

元祖・実話怪談の大家が贈る、怖ろしい話、全24話。『日本怪談実話』の田中貢太郎が、じっくり綴った怪談集。惻々と、また深々と、ときに何とも言えず、心の奥底に迫る。余人の追随を許さぬ、怪奇文学の極北。

著者等紹介

田中貢太郎[タナカコウタロウ]
1880年、高知県長岡郡三里村(現・高知市仁井田)生まれ。作家。伝記物、情話物などを書くかたわら、怪談・奇譚の大家として一時代を築く。大町桂月、田山花袋、田岡嶺雲に師事。滝田樗陰に認められ、『中央公論』で活躍。1941年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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HANA

65
大正から昭和初期に書かれた怪談を集めた一冊。都市伝説めいた作品から実話怪談、純粋な創作まで幅広く収められていて、読んでいて嬉しくなってくる。遠野物語に触れられたものや、佐々木喜善が体験したと思しきものが収められているので、この辺引用でなければ柳田国男とかとの関連も調べると面白そう。あとこの作者の場合、凡百の怪談と違って文章に艶みたいなものがあるような。それが特にいい意味で出ているのが「黒い蝶」と「蟇の血」。大正期独特の神経症的な陰鬱さと救いのないラスト共に素晴らしい。戦前の異界への小旅行、楽しめました。2018/08/08

澤水月

24
予想外に生々しく昏いエロティシズム、グロテスクさに満ちた話ばかりで仰天!アンソロで散発的に読んでいたのと違い大正エログロナンセンスに中国志怪小説的な突拍子もなさも足されクセになる。女性の服装や髪型描写も詳しく、良家とそうでない女の一目でわかる違いなど得心。割に女性が積極的に男を誘惑する話多い。ニートで家族に顔合わせたくないから電車降りたくないけど満員電車も苦しい・つい喫茶店に長居するだのイマと変わらない人間の心情と行動が現代とほぼ同じ!平易な言文一致で書かれており怪奇幻想の鏡花より読みやすい(コメ続2018/07/16

tow

14
情緒豊かな怪談。面白かった。今は明るすぎるから、やはり薄暗いあの時代がよく似合う、みたいな。2018/09/14

てっちゃん

9
どうも読んだことがある話が多いと思ったら、国書刊行会から出てる日本怪談大全Ⅰ・女怪の館というのを以前に読んだからだった。実話をベースにした創作なのか、全部創作なのか分からないけど、こういうのが怪談話なんだろうと思う。「蟇の血」が一番好み。2018/07/29

hitotak

8
クーラーのない昔、暑ければ打ち水や氷柱、怪談で気分だけでも涼をとっていた時代の怪談集。今どきのホラーやオカルトとは違い、どの話もじめじめと湿度が高く、風情がある。暗闇があちこちにあり、親しい友人や家族が若くして亡くなるのが珍しくない時代で、妻にした女が実は蛇や狐だったという話などが多く、まるで小泉八雲か日本昔話のよう。戦前はまだ江戸期の世界観が色濃く残っていたのだろう。登場する女たちがみな妖しく、その得体の知れなさにも怖くなる。当時の他の日本文学にもあまり見かけない、独特の会話文も印象的だった。2018/09/09

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