出版社内容情報
代表的な怪談作家の実話物怪談大全。文句なしに怖い話を集めた先駆的業績の待望久しい復刊。
内容説明
元祖実話、決定版。怪談といえば田中貢太郎、田中貢太郎といえば怪談実話。この人にして初めて編まれえた、明治以降の怪談実話の集大成。タクシー、家屋敷、写真、軍隊、海山…現代の怪談実話の祖型!全234話!
目次
御紋章の異光
聖瑞
高千穂峰の霊異
勅語は畏し
白い服と赤い服
定紋の附いた提灯
中屋少佐
巣籠の鶴
戦死者の凱旋
佐倉連隊の怪異〔ほか〕
著者等紹介
田中貢太郎[タナカコウタロウ]
1880年、高知県長岡郡三里村(現・高知市仁井田)生まれ。作家。伝記物、情話物などを書くかたわら、怪談・奇譚の大家として一時代を築く。大町桂月、田山花袋、田岡嶺雲に師事。滝田樗陰に認められ、『中央公論』で活躍。1941年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
65
実話怪談集。戦中の出版という事で天兵天下るが如き話もあるけど、大部分は普通の怪談。主に大正や昭和初期の話なので、兎に角話に風情があるのである。あと収録されている話の範囲が広いの一言。死体を食べる学生とか消える乗客等の有名すぎる話から文壇怪談や最近流行りの山岳怪談まで、幅広く収められている。前者二者は大正から構造自体が変わっていなかったり、鏡花自身が語る「海異記」の元ネタが含まれていたり、怪談史を調べる上でも非常に参考になると思う。どこか懐かしい話が淡々と標本の如く並べられとても読み応えのある一冊であった。2017/11/15
あたびー
46
現在の形に近い実話怪談の祖とも言うべき怪談集。自ら聞き取った話もあれば、メディアに載った話もあるようです。「その後どうなったかは聞き忘れた」となるのがいくつもあるのはご愛嬌。自分で聞き取った話には、超有名人から聞いた話も多数あり驚く。怪談ではないが1つご紹介。ネタを探すカメラマン、街角に佇む松井須磨子を見つけ、こんな所にいるのは珍しいと写真を撮ったが、須磨子自殺直前の姿であった。バックに写った電柱には仁丹の広告「明日をも知れない人の身の上」。2023/07/04
有理数
19
実話怪談、心霊体験談にどっぷり浸るならこの一冊。一話毎にページが改まるということもなく、矢継ぎ早に怪談がやってきますので、とにかく怪談を堪能できます。夏頃からちょっとずつ読み始めて、読了がこんな時期になってしまいました。全243話というボリュームですが、一話一話は短く、幽霊や怪異の出自を調べるようなことはほとんどありません。かなり潔いです。ですが、確かに怖い。実話なんですよね……怖い……。シチュエーションも膨大で、まるで取材資料の集成のような面持ち(個人名や住所あり)も不気味さを煽ります。面白かったです。2018/12/31
mittsko
9
現在静かなブームの只中にある「実話怪談/怪談実話」の元祖にあたる怪談綺談の数々… 田中貢太郎は、当時にあって、その蒐集・翻案で名を上げた この界隈に関心をもつ方には、必読の一冊ですね…(*´ω`*) ※ ただ、文学素人のボクには、田中の文才がいかばかりのものか、少々判別に困ったのも事実 新聞記事を少し潤色したかのような文体に、ボクは魅力を感じなかった 界隈業界の重鎮が評価する著者であるにつけ、自分の不勉強に不安になってしまった2023/08/16
デューク頭領
8
日本怪談実話〈全〉 >> 「日本怪談全集」(昭和九年・改造社刊)でお馴染み、実話怪談のゴッドファーザー田中貢太郎の「新怪談集(実話篇)」(昭和十三年・改造社刊)を復刊したものです。昭和四十六年(1971年)にも桃源社から出版されました。書名はその時のものを使っています。明治から昭和十年あたりまでの実録怪談を全234話収録。軍隊や歌舞伎の舞台ほか、ありとあらゆる現場での怪異がてんこ盛りです。満腹です。実録怪談好きは楽しめますよ。2017/11/24