死の棘―短篇連作集

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  • サイズ B6判/ページ数 267p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309026251
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

精神を病んだ妻と罪障を抱えた作家との日常生活の修羅を描く私小説。長篇版より早い時期に書かれた作品から始まる短篇集。

内容説明

共に狂っていく夫婦の凄絶な「愛」の記録。精神病院での療養生活からさかのぼる、もう一つの“死の棘”の世界。圧倒的な私小説の極北がここにある。短篇連作版復活。

著者等紹介

島尾敏雄[シマオトシオ]
1917年、横浜生まれ。作家。九州帝国大学法文学部東洋史科卒。1944年10月、第十八震洋特攻隊指揮官として奄美群島の加計呂麻島に赴任。発動命令が下ったまま、敗戦を迎える。戦後、当地で知り合った大平ミホと結婚。日常の現実世界の中に人間の危機的状況をにじませた作風は、私小説の新境地を拓いた。主な著作に、『出孤島記』(戦後文学賞)『死の棘』(短篇集・講談社版、芸術選奨)『硝子障子のシルエット』(毎日出版文化賞)『日の移ろい』(谷崎潤一郎賞)『死の棘』(長篇・新潮社版、読売文学賞、日本文学大賞)『魚雷艇学生』(野間文芸賞)がある。また、「湾内の入江で」で川端康成文学賞、1981年に芸術院賞受賞。1986年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おいしゃん

43
こんなに重い話とは…。読むのにかなりの労力を要した。妻がパニックや発作を起こし、それに連鎖して夫が狂い、それを見た子らがオロオロする。その度にぐったり、でもやめられない。2018/04/22

たまきら

28
なんだこりゃ。私小説は日本人の十八番だとは思っていたけれど、ジッパーをあげていられないくせにプレッシャーに弱い男と、その男に翻弄される妻の狂気のものがたりがあまりにも自己中心的で「ああ!私は殉教者なのだ!」目線で心が冷えた。カタカナで書かれた幼い娘の「ハミガキヲスルカオ」、錯乱する息子。家庭を選べぬ子どもたちがあまりにも外野。安っぽいメロドラマの真の犠牲者は子どもだ。2018/09/19

owlsoul

10
10年もの長きに渡り愛人のもとに通い続ける男と、それを知りつつ献身的に家庭を支え続ける彼の妻。そんな暮らしが永続できないことは知りつつも、やがて訪れるであろう破滅に怯えながら、男は妻を裏切り続けた。そしてついに、その日はやってくる。妻は精神を病み、家事を放棄し、自死をちらつかせながら一日中夫の浮気を糾弾する。今更の罪悪感にさいなまれ、妻を正気に戻そうと奮闘する男は、やがて彼女の狂気に耐えかねて自らも精神を病んでいく。私小説の本作が描き出す夫婦の極限状態は、笑いと恐怖が拮抗する、恐ろしくも滑稽な愛憎劇だ。2024/03/05

圓子

2
謎が多い。窒息しそうだ。内容も、文体も、息継ぎのタイミングを見失う。2022/03/23

ピロ子

2
当の本人たち、とくに子供たちにとっては、地獄、修羅場だろう。でも、第三者から見れば滑稽な部分が多い。2021/05/29

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