出版社内容情報
様々な「在日」の問題を自らの「生活」に交えながら考察し、「国家とは何か?」という問題に挑む、唯一無二のエッセイ集。
内容説明
国家とは、国民とは何なのか?「普通」とは何なのか?「在日」の問題を通じて問い続けた魂の叫び。
目次
謝罪への道順
事実を知る、その先に
我々の言葉
チマチョゴリの紐が風に舞う日
逆境の中で、人は言葉に出逢う
痛ましい記憶を語ること
諦念ではなく抵抗としての沈黙
あの日からの時間
かけがえのない一人の生として悼む
「どこにもない場所」(Utopia)を創出する力〔ほか〕
著者等紹介
柳美里[ユウミリ]
1968年生まれ。高校中退後、東由多加率いる「東京キッドブラザース」に入団。役者、演出助手を経て、87年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。93年『魚の祭』で岸田國士戯曲賞を最年少で受賞。97年、『家族シネマ』で芥川賞を受賞。著書に『フルハウス』(専鏡花文学賞、野間文芸新人賞)、『ゴールドラッシュ』(木山捷平文学賞)他多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
116
柳美里は、新作中心に読んでいる作家です。小説はかなり読んでいますが、エッセイは初読です。気楽に読めるエッセイでは全くありません。襟を正して真摯に受け止めなければいけない非常に重い内容です。私はナショナリズムではなく、世界連邦でAI(残念ながら人間は信用出来ない)が政権を担うべき(飛躍的かつ理想的かも知れませんが)だと考えています。こうしなければ地球温暖化や人口爆発といった世界規模の問題は解決出来ません。本書は、安倍総理に読ませたい作品です。南相馬市居住の著者が、今後どんな作品を紡ぎだすのか楽しみです。2017/11/26
樋口佳之
24
国家」という言葉に違和感を覚えるのです。隅々までよく知っていて、目隠しされたとしても、だいたいどこに何があるか見当がつく場所が「家」というものだから。/国の家と書いて、国家/この言葉の危うさを語るはじめにが印象に残りました。2018/04/28
Hitch
7
柳美里は読み方を知っている程度だった。偶然本屋で、私の中の無意識下で長年堆積していた「日本人としてのうしろめたさ」がこの本と目が合い、購入した。内容は私には衝撃的なこともあったが、エッセイ形式と著者の(逆の立場ではありえない)優しさと前向きさのためか、すんなりと入ってきた。私は本当の自分を知りたいと思う。この本を読みながら、様々なことを考え、気づくことができた(が、この国の中で口にするのは勇気がいる)。昔、押すだけで使えるカメラを私は語源を知るまで「◯◯カメラ」と呼んでいた。この衝撃を久々に思い出した。2017/12/09
kuronyann
4
柳美里さんは気になっている作家なのにその小説を読んだことが無い。重くて暗いだろうと勝手に思い込み躊躇しているうちに年月が経ってしまった。この本も軽くはなく重い。しかし暗く感じないむしろ明るい。著者は徹底して著者の立場から見て聞いて発言する。それが読む者の姿勢を正す。背筋を伸ばす。心地よい重みだ。文中には南相馬でボランティアをし、地元で感謝されている男性が差別の罵詈雑言をツイートするとの記載もある、根深い差別に驚いた。それでも「おわりに」では「北朝鮮」という一つの集合体として敵視することはできない」とある。2018/03/27
ミネチュ
4
柳美里は芥川賞作家ですが、小説は読んだことがありません(多分)。 エッセイや評論は何冊か読んだことがあり、私が好きな著述家の一人・・・と言うか、おそらく最も好きな著述家だと思います。 この本は「国家」をテーマにして7年間にわたって雑誌に連載されたエッセイをまとめたものだそうです。 国家、国家と個人、民族、民族差別などなどに関するエッセイが並んでいて素晴らしい本でした。2018/03/16