出版社内容情報
かつて「苦悩教」の教祖として熱狂的支持をうけて夭折した作家・高橋和巳が注目を浴びている。時代をふりかえり新しい魅力をさぐる。
河出書房新社編集部[カワデショボウシンシャヘンシュウブ]
編集
目次
高橋和巳、その人と時代
入門対談 陣野俊史×小林坩堝 いま、高橋和巳を読むために―「苦悩」と「妄想」から遠く離れて
インタビュー 田邊園子―編集者から見た高橋和巳
インタビュー 高橋和巳 私の文学を語る(聞き手・秋山駿)
高橋和巳と想像力の枷(大江健三郎)
破局への参加―高橋和巳への追悼(埴谷雄高)
文学は自己指弾か(梅原猛)
ついに書かれなかった『幻の国』(高橋たか子)
対談 三島由紀夫×高橋和巳 大いなる過渡期の論理
視野脱落をおそれた人(武田泰淳)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田中峰和
2
高橋和巳のデビューを推した坂本一亀が坂本龍一の父であったことや、開口健、大江健三郎など当時の作家群像が新鮮に感じられた。また、全共闘世代に共感を得た左翼的な思想の作家でありながら、国家主義の三島由紀夫と交流があったのも坂本人脈の影響らしい。自衛隊突入事件の前年、高橋が癌で死ぬ二年前69年に行われた三島との対談は、72年以降の学生運動の矛盾とその衰退を予言している。作家として10年に満たない活動期間ながら、「悲の器」「邪宗門」など構想力豊かに現実への批判を描いた力作は60年代、70年代に最も読まれた作家だ。2017/04/30
原玉幸子
0
早逝した高橋和巳の特集(雑誌)で、著名作家の同氏への追悼文や、本人との対談やインタヴュー、そして最後に同氏の有名作品の解説があります。◎推奨の『邪宗門』を読んでから本書を読むか、本書を読んでから作品を読むかはお任せしますが、純粋に作品を楽しむだけでなく、何故その作品を書くに至ったかを作家の生き様に触れることで知ることは有意義であり、又感慨深いものがありました。(◎2017年・夏)2020/02/11