出版社内容情報
焼夷弾が降り注ぐ戦中の東京で、真智子がすごした峻烈なる一夜……〈生〉の痛みと輝きを凝視する著者の魅力が溢れる短篇集。
窪 美澄[クボ ミスミ]
1965年東京生まれ。2009年「ミクマリ」で女による女のためのR-18文学大賞を受賞しデビュー。11年『ふがいない僕は空を見た』で山本周五郎賞、12年『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞を受賞。
内容説明
無様に。だけど、私はまだ生きているのだ。焼夷弾が降る戦時下、喧騒に呑まれる八十年代、そして黄昏ゆく、いま。手探りで生きる人々の「生」に寄り添う8つの物語。
著者等紹介
窪美澄[クボミスミ]
1965年、東京都生まれ。2009年「ミクマリ」で第八回女による女のためのR‐18文学大賞を受賞しデビュー。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』で第二四回山本周五郎賞を受賞、本屋大賞二位に選ばれた。12年、『晴天の迷いクジラ』で第三回山田風太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
353
窪美澄は、新作中心に読んでいる作家です。老いとエロスと悲しみの短編集。私小説的な要素も見受けられます。オススメは、義父と義娘の妖しい関係を描いた「バイタルサイン」、甘酸っぱい一夏の出来事を綴った「銀紙色のアンタレス」です。2016/11/13
hiro
234
本の帯には、手探りで生きる人々の「生」に寄り添う8つの物語とあった。窪さんらしい?性描写で、義父と女子高生との「性」を描いたもの(『バイタルサイン』)から、それとは正反対と言える、夏の海で出会った人妻に思いを寄せる高校生をさわやかに描いたもの(『銀紙色のアンタレス』)まで、8つのいろいろな「生」と「性」の物語だった。そのなかで一番印象に残ったのはやはりアンソロジーで読んでいて再読になった、戦争中のいつ死ぬか分からないなかの女子大生と医学生の「性」を描いた『朧月夜のスーヴェニア』だった。2016/11/28
きさらぎ
231
家族を解散しなければならなくなった時、最も傷つける言葉を一番身近にいてくれた人に吐いても許してくれるだろう。でもその時の表情は忘れられない。「朧月夜のスーヴェニア」が印象的。許婚を戦地へ送り出したが、その後医者の卵と知り合う。明日死ぬかもしれない、そんな時心は少しずつ歪んでいき、やり残したことをするために周りを気にせず素直に行動できてしまう。「バイタルサイン」もそうだけど、人が死ぬときに思い出すことって誰かを愛したことやその人と過ごした日々なのかもしれない。幸せな思い出はきっと死の恐怖から救ってくれる。2017/10/09
いつでも母さん
228
どれもこれも『生』を感じさせてくれる短編ばかりだ。生きていればこそだなぁと。『父を山に棄てに行く』で、いちばん身近にいてくれる人にひどい言葉を投げかけるのはどこまでなら許してくれるかを測る甘えでしかない。と・・今の私にはグサッっと心に刺さってしまう言葉だった。そうだね、甘えてるんだね私・・タイトル作はその年代にはリアルだろう。『バイタルサイン』も良かったのだがちょっとなぁ。『インフルエンザの左岸から』が何気に一番ストンと気にいった次第。どれもこれも窪さんの世界だった。2016/11/27
❁かな❁
217
さすが窪美澄さん♪生と性を描かれるの本当に上手い!バラエティー豊かな短編集*アンソロジーで『銀紙色のアンタレス』『朧月夜のスーヴェニア』既読。どのお話も良かったですが『バイタルサイン』のインモラルで濃厚な感じなのに読後感は良く特に印象深い*このお話は主人公の気持ちで読むとグッときて母の立場で読むとキツイ。表題作も『朧月夜〜』『銀紙色〜』『猫と春』も好き♡たとえ結ばれなくても本気で恋をして一生忘れられないような刺激的な経験をしたらそれを胸に秘め生きていける。私にもそういう経験がある。窪さん短編も長編も素敵♡2018/01/13